...可愛い嘴(くちばし)を時々開き...
池谷信三郎 「橋」
...明けていうと、活東のその柳橋の番傘を随筆に撰んだ時は、――それ以前、糸七が小玉小路で蛙の声を聞いてから、ものの三十年あまりを経ていたが、胸の何処(どこか)に潜み、心の何処にかくれたか、翼なく嘴なく、色なく影なき話の種子は、小机からも、硯からも、その形を顕(あら)わさなかった、まるで消えたように忘れていた...
泉鏡花 「遺稿」
...三羽嘴(くち)に咬(く)はへて...
巌谷小波 「こがね丸」
...鶴嘴の外(ほか)に...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...これなる鋤(すき)と鶴嘴(つるはし)とを取上(とりあ)げました...
シェークスピヤ William Shakespeare 坪内逍遙訳 「ロミオとヂュリエット」
...まだ嘴(くちばし)の黄色い青二才かもしれませんよ! どうです...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...余は初めて現代の我が社会は現代人のものにして余らの決して嘴(くちばし)を容(い)るべきものにあらざる事を知りぬ...
永井荷風 「江戸芸術論」
...(いすか)の嘴(はし)と善(い)い方へばかり...
夏目漱石 「坑夫」
...岬は鶴の嘴のように長く海へ突き出していて...
久生十蘭 「葡萄蔓の束」
...天心に嘴を差しのばし...
久生十蘭 「魔都」
...言わずと知れた恋の意趣から他の雄鶏どもの嘴(くちばし)にかかって...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...孤獨も孤獨ではない――憩(いこひ)も憩ではない――饑餓といふ兀鷹(はげたか)が――私の横腹に嘴(くちばし)と爪を突き立てゝゐる間は...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...この前巣の中で見たのとそつくりな鋭い嘴を大きくあけて...
堀辰雄 「巣立ち」
...そうすると低雄蕊(ていゆうずい)の花粉がその嘴(くちばし)に付着するばかりでなく...
牧野富太郎 「植物知識」
...其間(そのあひだ)愛(あい)ちやんは嘴太鴉(はしぶとがらす)と...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...貝を嘴(くちばし)にくわえて飛んで来ることがあるという言い伝えが...
柳田国男 「海上の道」
...かれの肩に嘴(くちばし)をすりつけて...
吉川英治 「神州天馬侠」
...鶯の愛らしい嘴、そのくび、その足、それらが我々には感覚的な親しさをもって感ぜられるではないか...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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