...嘗める仮為(まね)をしたんだと云つた...
有島武郎 「お末の死」
...波の反射が陽炎の様にてらてらと顔から半白の頭を嘗めるので...
有島武郎 「かんかん虫」
...ちびりちびりと嘗めるやうにしてそれを味はつてゐるうちに...
薄田泣菫 「小壺狩」
...彼は嘗めるようにちょっと唇を浸して...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...この下宿屋を遣つて今日の苦痛を嘗めることも亦文太郎からの勸めによつたとは言へ大部分は自ら好んで渦中に投じたのであつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...一匙ずつ嘗めるように味わいはじめたが...
豊島与志雄 「化生のもの」
...ようし、手前が、嘗めるんなら、俺は、齧るんだ...
直木三十五 「南国太平記」
...引きゆがめられた微笑をもってそれを親しく嘗めるスポーツの内奥の愉悦は...
中井正一 「スポーツの美的要素」
...悲痛艱苦(かんく)の経験をたとえて世の辛酸を嘗めると言う...
永井荷風 「砂糖」
...わが身既に久しく世の辛酸を嘗めるに飽きている折から...
永井荷風 「砂糖」
...ただ草を嘗めるというが...
中里介山 「大菩薩峠」
...塔の一階から三階まで嘗めるやうに調べると――」ガラツ八がわめくのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...交る/″\出て來ちや頬つぺたを嘗めるんですもの...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...井戸が深いので今までは墜ちこんでも嘗めるような水音しかしないのに...
林芙美子 「風琴と魚の町」
...古へを持たず知らずと為ししかど昔のものの如く衰ふ古人の糟粕を嘗めるを屑しとしない故に私は古い物を持たない又それを知らないといつて新風を誇つて来たのである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...時々かういふ不自由さを嘗める...
柳宗悦 「赤絵鉢」
...幇間が五重の塔の擬宝珠を嘗める「六升」(緑青)という得意の持話に満座腹を抱える...
山本笑月 「明治世相百話」
...ジェローデルのドロップだよ』『何んにするんだ?』『だいぶ熱があるから風薬に嘗めるんさ』意表の悪戯に...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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