...而して嘗て屡京童の嘲笑を蒙れる...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...嘗て、木曾三千の健児に擁せられて、北陸七州を巻く事席の如く、長策をふるつて天下を麾ける往年の雄姿、今はた、何処にかある...
芥川龍之介 「木曾義仲論(東京府立第三中学校学友会誌)」
...日本が嘗て議會を開いた事からが先ず國體に牴觸する譯になりはしないだらうか...
石川啄木 「歌のいろ/\」
...何よりもとり戻したる花明り 虚子嘗て落花を見ながら明を失した素顔君も...
高浜虚子 「椿子物語」
...嘗て目をねむつて心で見た其理想郷も今日の前に現前して見ると...
高濱虚子 「俳諧師」
...目蓋の下に我は目を閉ざせしことは嘗て無く...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...嘗て学問の性格を云い表わすものとして...
戸坂潤 「科学方法論」
...僕は嘗て知らない...
豊島与志雄 「椎の木」
...嘗ての工部局時代...
豊島与志雄 「秦の出発」
...嘗てこの室で起ったろうさまざまなことが...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...未だ嘗て犬を飼ったことはない...
豊島与志雄 「猫先生の弁」
...四十円もらった時には、然し、うれしくって、嘗て一度も、先生の家へ、物などもって行った事の無い私が、女房に鯉をもってやらせた...
直木三十五 「死までを語る」
...自分も嘗ては同じ日本の學生であつた...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...それは嘗て酸鼻と醜怪をきはめた虚無の拡がりの中に...
原民喜 「火の踵」
...」彼等は天地(あめつち)の間に存する在りとあらゆる物として、嘗て生れ、やがてまた生るゝものと信仰した...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...嘗ては人間の生を解放する役目をもつてゐた意識は...
三木清 「唯物史観と現代の意識」
...嘗て文部省は天下に令して四書五経を村庠(そんしやう)市学の間に復活せしめんとせし時代もありき...
山路愛山 「英雄論」
...嘗て筆者は数寄屋橋の何とか治療の病院に通う翁の自動車に同乗させてもらったことがある...
夢野久作 「近世快人伝」
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