...踵は嘗て洗つた事のない程黒い...
石川啄木 「刑余の叔父」
...卒先して鉱毒の被害に蹶起した人々で嘗ては正造もその先唱を称揚したことがあった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...実は歴史上未だ嘗て無かったとさえ云って好い...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...私は未だ嘗て市内でその姿を見たことがない...
豊島与志雄 「蜘蛛」
...嘗て見たこともない大きな美しい五色のものだった...
豊島与志雄 「黒点」
...その銀杏の樹に嘗て...
豊島与志雄 「太宰治との一日」
...孟子は嘗て卿に異姓の卿と...
内藤湖南 「概括的唐宋時代觀」
...嘗ては西國筋の大名に仕へ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...嘗ておまへがそのやうに生きてゐたといふことだけで...
原民喜 「小さな庭」
...何ぜなら此の詩にある心持の凡ては悉く嘗て自分の全生命を盡くして踏んで來た片身だからだ...
福士幸次郎 「太陽の子」
...眞澂畫く所に對して未だ嘗て些の矛眉をも不調和をも感じない...
藤原咲平 「山岳美觀」
...牙のある肖像嘗ての日...
逸見猶吉 「逸見猶吉詩集」
...これは嘗て森氏が友達の海軍将校から贈られたもので...
牧野信一 「南風譜」
...嘗て芝新堀の願人坊主の巣窟に人となり...
正岡容 「寄席風流」
...寧ろ彼が嘗てヘーゲルに就いて語つたといふ次の言葉が...
三木清 「ゲーテに於ける自然と歴史」
...それが嘗てひとたび世界のうちに在りもしくは在つたといふ理由で純粹にそれ自身のために關心を喚び起すのではなく...
三木清 「歴史哲學」
...――嘗てその辯護士の住んでゐた港の都市から少し離れたところに...
水野仙子 「女」
...嘗て「青鞜社」の活動の旺であった時代...
宮本百合子 「含蓄ある歳月」
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