...〔評〕余嘗て木戸公の言を記せり...
佐藤一齋・秋月種樹(古香) 山田濟齋訳 「南洲手抄言志録」
...嘗て優れたる人は...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...彼は嘗て、猟奇の心から、電燈工夫のあとについて、自宅の天井へ上って見た事があるので、屋根裏というものがどんな構造になっているかを、大体知っていた...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...嘗て比較神話学者の発見したる...
高木敏雄 「比較神話学」
...嘗て寫眞で見てどんなに立派なものであらうかと想像してゐた程では無かつたが...
高濱虚子 「俳諧師」
...嘗て学問の性格を云い表わすものとして...
戸坂潤 「科学方法論」
...市井的な嘗ての小新聞は...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...彼は従来実業に従事して嘗て政治運動に関係したることなく...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...嘗ては惑星的存在として政界に暗躍したことが...
豊島与志雄 「波多野邸」
...併しそれと同時に自分の容貌は嘗て思ひもかけなかつたつらい重荷となつた...
中勘助 「銀の匙」
...然し其の心持は嘗て北米の冬の荒原(くわうげん)を汽車から眺めた時とは全く味ひを異にして居る...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...松が關ツちふ相撲知つてるかねと問うたので余は囘向院の相撲で嘗て見たことを話すと彼は乘地になつたといふ鹽梅で「ありやなんだ石岡の酒藏に米搗をして居たんだがとう/\相撲になつちまつた...
長塚節 「土浦の川口」
...墺居斯多(オーゴスト)・坤度(コント)嘗て五學の模範を著はし...
西周 「尚白箚記」
...着物の市松模様にさえ、嘗て、安珍(あんちん)を追った清姫(きよひめ)の鬼気がただよっている感さえあった...
火野葦平 「花と龍」
...嘗てはその言葉と態度に或る嚴肅な魅力を與へてゐた興味と是認(ぜにん)の心を...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...嘗て故人は、この句を有名だつた芝二本榎五人殺しを材としたものと語つてゐられたが、その五人殺しは『明治編年史』によると明治四十二年十一月の出来事である...
正岡容 「大正東京錦絵」
...――「業」と「人間」とが同時に出来上つてゐるうへで」と久保田万太郎氏も嘗て「断章」の中で激賞してゐられる...
正岡容 「大正東京錦絵」
...血は丁度嘗て人間の体内に居た時の如く...
松永延造 「ラ氏の笛」
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