...自分一個の嗜好から云へば眞面目と巫山戲との中が割れて兩者が綯ひ交られて行く處に妙に遣瀬ない情調を喚起する...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...嗜(たしな)み深い態度を取つたまゝ黙つて居ります...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...それはそういう恰好が今福嬢の嗜好に適しないと考えたからなんだろう...
海野十三 「心臓盗難」
...感傷的な旋律(メロディー)にたいするドイツ人の嗜好(しこう)をも...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...素人でも藝術に嗜みのある人は畫を描いても差支ないといふことになつて來ました...
内藤湖南 「近代支那の文化生活」
...そんな事から私は持って生れた漢学の嗜好の関係よりこの塾中の人々と交際をして...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...こうは嗜みが出来ないはずと思ったからです...
中里介山 「大菩薩峠」
...二個の相容れざる願望(ぐわんもう)嗜欲(きよく)が胸に闘ふ場合も同じ事であつた...
夏目漱石 「それから」
...一般の人の弱点嗜好(しこう)に投ずると云う大きな意味で...
夏目漱石 「道楽と職業」
...御米の嗜好(しこう)に合ったので...
夏目漱石 「門」
...こう栂指(おやゆび)で押えていようといった嗜(たしな)みは...
野村胡堂 「十字架観音」
...次第に病的な嗜好(しかう)が高じて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...この児のち英人ニコレツ大尉の監督で養われたが生肉を嗜む事甚だしく一度に羊児半分を食った...
南方熊楠 「十二支考」
...嗜学益深...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...この嗜好(しこう)は喜多静廬(せいろ)の祭礼を看ることを喜んだのと頗(すこぶ)る相類(あいるい)している...
森鴎外 「渋江抽斎」
...人だけは嗜好(しこう)が転じてこれを食わなくなっても...
柳田国男 「木綿以前の事」
...浪人に似合わず身嗜(みだしな)みが良く...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...更に嗜好や気紛れにも支配される...
デイヴィド・リカアドウ David Ricardo 吉田秀夫訳 「経済学及び課税の諸原理」
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