...手のひらに残ったかすかな草の香を嗅ぐと...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...山の渓あひに山(やまどり)の雌のやうに腹這ひ伏(ふさ)つてゐる雲の匂を嗅ぐことができたやうに思つた...
薄田泣菫 「独楽園」
...わたしがロング・ウォーフからレーク・チャムプレーまでの道のりにわたってその香(にお)いをまきちらす貨物を嗅ぐとき...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...私は黴の匂を嗅ぐと...
田中貢太郎 「春心」
...鰯、鰯、鰯、見るも鰯、嗅ぐも鰯、食べるも、もちろん、鰯である...
種田山頭火 「行乞記」
...この匂いを嗅ぐと...
寺田寅彦 「浅間山麓より」
...わずかにその匂だけを嗅ぐ事の出来るものである...
寺田寅彦 「雑記(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
...見る眼嗅ぐ鼻ともいふべき八五郎は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...戀びとよ私の部屋のまくらべに坐るをとめよお前はそこになにを見るのかわたしについてなにを見るのかこの私のやつれたからだ 思想の過去に殘した影を見てゐるのか戀びとよすえた菊のにほひを嗅ぐやうに私は嗅ぐ お前のあやしい情熱を その青ざめた信仰をよし二人からだをひとつにしこのあたたかみあるものの上にしも お前の白い手をあてて 手をあてて...
萩原朔太郎 「青猫」
...何か、生といふ強いものを、ほのかななかにはつきりと知り、嗅ぐのだつた...
長谷川時雨 「きもの」
...煙草を嗅ぐのは止めておかう!と...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...にこにことしておりおりこれを嗅ぐなり...
柳田国男 「遠野物語」
...その匂いを嗅ぐとふしぎに胸が緊まり...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...すなわち現在の事実を見る、聞く、嗅ぐ、味(あじわ)う、感ずる...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...山に見る道士のころも春過ぎて猶目に紅し桃の花かと大連の港の上の草山(くさやま)に桔梗の色の初夏を嗅ぐ実際に山上から見る此日の空も海気も桔梗色をしてゐた...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...彼の影は、それを嗅ぐと、動物的に、跳びついて、香(にお)うものの焦点へ、ごしごし顔をこすりつけた...
吉川英治 「平の将門」
...ふと卓上の花の香を嗅ぐと...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...悲しくって嗅ぎたばこを嗅ぐわけか」「そうじゃありませんよ」――彼は言う――「こうなんです...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
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