...度々釣に出かけると、何だか知れないが、家の者に気兼するやうな風になツて、夜中に、女どもを起すでも無いと、自分独り起きて炊事することも有るですし、よし飯焚を為(し)ないにしても、朝飯とお弁当は、お冷でも善い、菜が無いなら、漬物だけでも苦しうない、といふ工合で、食ぱんのぽそ/\も、噎(むせ)ツたいと思はず、餌を撮(つま)んだ手で、お結(むす)びを持ツても、汚いとせず、極(ごく)構はず屋に成るから、内では大喜びです...
石井研堂 「元日の釣」
...女監を見るたびにいつも思うが、僕等の事件に一人でも善い、二人でも善い、ともかくも婦人がはいっていたらどんなに趣味あることだろう...
大杉栄 「獄中消息」
...其れだけに善い、其れだけに力を用ゆる頭を、國家の爲に何故公けに用ひない...
田中正造 「亡國に至るを知らざれば之れ即ち亡國の儀に付質問」
...畢竟、私の過去は私の煉獄であつた、無論、善い意味に於て...
種田山頭火 「其中日記」
...善い悪いという非技術的な――非科学的な――根本概念を安価に振りまわすものはなかった...
戸坂潤 「技術の哲学」
...まず領内に入った時、「善い哉、由や、恭敬にして信なり」と言った...
中島敦 「弟子」
...話好きな、人の善い老人だ...
中島敦 「光と風と夢」
...一体そのことは善いか悪いかということを一つの疑問として諸君の御教を受けたいのであります...
新渡戸稲造 「教育家の教育」
...極りが善い悪いを言って居る場合ではありませんから...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...大したうるさい事も言はない相ですよ」「それぢや評判がよからう」「評判が善いの何んのつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...綺麗な小娘や善い音楽を背景にして...
萩原朔太郎 「喫茶店にて」
...古典といわれるものは善い本であるに相違ないが...
三木清 「如何に読書すべきか」
...善いものを害することに向つて働くのが一般であるから...
三木清 「人生論ノート」
...善い人なことはわかります...
三好十郎 「恐怖の季節」
...おとなしい子供のような善い性質を...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...人の善いおばさんですねと云つた...
室生犀星 「京洛日記」
...平凡に当り前に善い行いをするのと同じ境地なのです...
柳宗悦 「民藝四十年」
...――世上の毀誉褒貶(きよほうへん)はどうせ善い噂はなく...
吉川英治 「黒田如水」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??