...予は「かの丸薬」の幾粒を口に啣(ふく)みて...
芥川龍之介 「開化の殺人」
...……」粟野さんはちょっと当惑(とうわく)そうに啣えていたパイプを離しながら...
芥川龍之介 「十円札」
...中佐は紙巻を啣(くわ)えながら...
芥川龍之介 「将軍」
...僕などは唯指を啣へて陰に潛むより仕方がない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...……お話を聞かなくツちや……でないと袖を啣(くわ)へたり...
泉鏡花 「印度更紗」
...口で啣(くわ)えても藤色縮緬(ちりめん)を吹返すから...
泉鏡花 「薄紅梅」
...莟(つぼ)むようにちょっと啣(くわ)えて悄(しお)れた...
泉鏡花 「瓜の涙」
...このまま指を啣(くわ)えて引込んでる事は世界の文明のために出来ない...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...胸を披(はだ)けて萎(しな)びた乳房を三つばかりの女の子に啣(ふく)ませている傍に...
徳田秋声 「足迹」
...張り詰めた乳房を啣(ふく)ませると...
徳田秋声 「黴」
...三個ながら口に啣(くわ)えて...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...反物(たんもの)の片端(かたはし)を口に啣(くわ)へて畳み居るものもあれば花瓶(かへい)に菖蒲(しょうぶ)をいけ小鳥に水を浴びするあり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...兼太郎は窓を明けて腰をかけ口に啣(くわ)えた敷島(しきしま)に火をつける事も忘れて...
永井荷風 「雪解」
...この間中はどうも忙し過ぎて降参したから」と誠吾は火の消えた葉巻を口に啣(くわ)えた...
夏目漱石 「それから」
...司法主任から啣え直さしてもらった朝日を吸い吸い嗄(しわが)れた...
夢野久作 「S岬西洋婦人絞殺事件」
...中野学士と戸塚が揃いの金口を啣(くわ)えていた...
夢野久作 「オンチ」
...煙管(きせる)を啣(くわ)えながら先刻(さいぜん)の蒸籠(せいろ)の繕(つくろ)い残りを綴(つづ)くっておりましたが...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...餡パンを啣え口を空に向け...
横光利一 「旅愁」
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