...「然(さ)らば唯今...
芥川龍之介 「きりしとほろ上人伝」
...間もなく聞えるのは唯血の滴る音ばかりになつた...
アナトール・フランス Anatole France 芥川龍之介訳 「バルタザアル」
...乞食 その指環は唯の指環ではございません...
芥川龍之介 「三つの指環」
...壁と壁との間が唯五間位しかないが...
石川啄木 「火星の芝居」
...が唯一人、浦見町の暗闇(くらがり)を歩いてる時に、『オヤ野村さんぢやなくつて? マア何方へ行(いら)つしやるの?』と女に呼掛けられた...
石川啄木 「病院の窓」
...殊に俳句は文字の少(すくな)いものであるから唯理窟(りくつ)を述べたものになってしまう...
高浜虚子 「俳句への道」
...また唯(ただ)一人の清国留学生だというので...
太宰治 「惜別」
...そこは小郡町唯一の遊覧地である...
種田山頭火 「其中日記」
...学問の所謂自由というものも唯名的性質を脱することが出来るであろう(学問に於ける自由――それこそ学問性である――は何か「強制の欠落状態」というようなものであるのではなくして...
戸坂潤 「科学方法論」
...唯物論と峻別するものは他ならぬこの点だ...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...唯物論的存在論は一般に...
戸坂潤 「辞典」
...唯だ毎日根氣よく書簡を手記して...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...いくら何といつても兄さんの所に唯世話に成つて居るのも身がひけるだらうといつてやつた小遣ひも氣の毒さうにはしたが拒むこともしなかつた...
長塚節 「開業醫」
...表向だけ唯々諾々としてこれを遵奉するは自ら欺くというもので...
新渡戸稲造 「自由の真髄」
...唯の按摩(あんま)さんだったのです...
野村胡堂 「焔の中に歌う」
...創刊號の要目に唯Pといふ署名で「詩二篇」とあるのがヴァレリイであらう...
堀辰雄 「色褪せた書簡箋に」
...今は天方伯も唯だ獨逸語を利用せんの心のみなり...
森鴎外 「舞姫」
...否……唯一度、女の言葉が切れると間もなく、微(かすか)に眼を上げて、女を見ようと努力したようであった...
夢野久作 「暗黒公使」
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