...唯元来仏蘭西人と云ふやつは税を出したがらない国民だから...
芥川龍之介 「歯車」
...渠は唯唸る樣な聲を出しただけで...
石川啄木 「病院の窓」
...行方も問ふな、名も問ふな、弛める弦の音にも似て、風にわななく一ふしの弱きしらべを聞けな、唯...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...一日に唯の五文半しか支給せられなかった...
太宰治 「『井伏鱒二選集』後記」
...人間の残忍な爪はその唯一をむしりとったのである...
種田山頭火 「白い花」
...五 結論唯物史観の方法と定説とに就いては併し...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...等に対する唯物論的な克服が盛られている...
戸坂潤 「読書法」
...第一は宗教一般に関する唯物論的研究の綱要的な紹介...
戸坂潤 「読書法」
...「その味噌汁の残りは何処にあるんだ」平次に取ってはそれは唯一の手掛りでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...常に左右に語つて「正成こそは我を知る唯一の知己」と話して居た...
萩原朔太郎 「足利尊氏」
...唯(たゞ)夜(よ)な/\の弓張提燈(ゆみはりでうちん)...
樋口一葉 「たけくらべ」
...一種類唯(ただ)一部に限ってあるから...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...唯真直ぐに信じ、熱心に忍耐を実行して行くのである...
松永延造 「職工と微笑」
...唯、ふしぎなことは、月の十五日の勤行にはただの一度もおつれになったことがございません...
室生犀星 「あじゃり」
...彼女にとってはそれが唯一の手段だったのである...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...我われはその米を唯一といってもいいほどの主食にしている...
山本周五郎 「新潮記」
...この方が楽しみの唯一でおざる...
吉川英治 「新書太閤記」
...黒吉は、時には鞭で自分を打ち、嬉し気に笑う、年若き麗魔が、こんな素晴らしい技術を持っているのか、と思う前に、唯、官能的な美に溺れて仕舞った...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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