...唯、所々丹塗(にぬり)の剥げた、大きな圓柱(まるばしら)に、蟋蟀(きり/″\す)が一匹とまつてゐる...
芥川龍之介 「羅生門」
...かくの如く養育された人間を道徳化し得る唯一の力は...
大隈重信 「列強環視の中心に在る日本」
...一時の気紛れから貴方がその唯一の嚮導の主義に背いてその女をお選びになったところで...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...物活論的唯物論はギリシアに於ける代表的な唯物論者デモクリトス(Dmokritos)の単位物質―アトム―の思想となって現われる...
戸坂潤 「辞典」
...この書物は現代日本に於ける唯物論の発達にとって...
戸坂潤 「読書法」
...その傾斜が唯一の道しるべである...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...長吉は失ったお糸の事以外に折々(おりおり)は唯(た)だ何という訳(わけ)もなく淋(さび)しい悲しい気がする...
永井荷風 「すみだ川」
...そして人間の世は過去も将来もなく唯その日その日の苦楽が存するばかりで...
永井荷風 「つゆのあとさき」
...尋常一年の弟は唯ポカンとしてゐた...
中原中也 「その頃の生活」
...唯(ただ)でお聴かせするのが勿体(もったい)ないような筋です...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...一昨日(おととい)から誰も来ないのは唯事(ただごと)じゃあるまい」平次は気ばかり揉(も)みます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...我れは唯だ君の身の幸福なれかし...
樋口一葉 「ゆく雲」
...最初にしてしかも唯一の形式だという点に存する」と定義している...
平林初之輔 「二つの文学論」
...其害たる唯一時一部分に止まるのみ...
福沢諭吉 「帝室論」
...」「ハイ唯今出た所で...
正岡子規 「初夢」
...其二は牧唯助(まきたゞすけ)である...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...唯恋を打ち明ける丈で好いのである...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「不可説」
...唯、不思議というよりほかに説明の仕様がない事になっている...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
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