...佐藤の妻は訳を聞く事もせずにがたがた震える歯を噛(か)み合せて猿のように唇(くちびる)の間からむき出しながら仁右衛門の前に立ちはだかって...
有島武郎 「カインの末裔」
...王子はお姫さまの赤い唇(くちびる)にキスをしました...
ハンス・クリスチャン・アンデルセン Hans Christian Andersen 矢崎源九郎訳 「人魚の姫」
...某の言語に伴いてその唇舌の動くを見るによるなり...
井上円了 「甲州郡内妖怪事件取り調べ報告」
...老人の唇は寒さのために...
梅崎春生 「狂い凧」
...アグリパイナは、唇を噛んで、この凌辱(りょうじょく)に堪えた...
太宰治 「古典風」
...微黄(うすぎい)ろな衣服(きもの)を着て紅(べに)をつけたような赤い唇まではっきり見える...
田中貢太郎 「岐阜提燈」
...唇を痙攣的に震わした...
豊島与志雄 「別れの辞」
...唇の異常に赤いのも...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...人に話しかけるその唇は春風のやうに自然に媚びがにじみ出て来て...
林芙美子 「小さい花」
...それから向側にぽっかりと新しい空間が見えてくる)「火の唇」のイメージは揺らぎながら彼のなかに見え隠れしていた...
原民喜 「火の唇」
...」私は唇を噛んで...
牧野信一 「サロメと体操」
...私は極悪人の決心をして唇を噛んだりした...
牧野信一 「真夏の朝のひとゝき」
...彼女の唇が、なんと蒼ざめてくっきりしていることか...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...鮮やかな赤い唇が開く毎(た)びに堅そうに細かい歯ならびがはっきりと現われる単純で居て魅力のある運動に半ば心を奪われて居て...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...いつも唇のあたりにうす笑いをうかべてい...
山本周五郎 「さぶ」
...彼女は十六歳になり、胸や腰のあたりには、すでに、おとなびたまるみがみえるが、顔つきはまだ少女のままで、張のある大きな眼にも、鮮やかに赤い、しめった唇にも、媚(こ)びや嬌羞(きょうしゅう)は少しも感じられなかった...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...「よしッ!」唇に喰い入ったまま彼の歯は赤いものに染まっていた...
吉川英治 「新書太閤記」
...あの可愛いい紅い唇(くち)から...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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