...妹の色を失った唇から「ウーム」という細い鋭いうめき声が漏れて...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...君がかくしたんだ、君が――」と込み上げる口惜しさをジッと耐えながら、眼を血走らせて、「僕達の間を割いたのは君なんだから」と言って、彼は唇を噛んだ...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「青い風呂敷包み」
...」と卜新氏は長い間生薬(きぐすり)と女の唇とを嘗(な)めて来たらしい口を開(あ)けて笑つた...
薄田泣菫 「茶話」
...ジャックリーヌは怒って唇(くちびる)を噛(か)みしめながら言った...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...少し大きいが紅い唇...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...反り加減の唇の弧線(こせん)も...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...……」「火の唇」の書きだしを彼はノートに誌(しる)していたが...
原民喜 「火の唇」
...巻煙草を唇の端にぶらさげたまま...
久生十蘭 「肌色の月」
...」彼の唇も頬も蒼ざめた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...目には幸せの涙が流れ、唇は震えている...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...青ざめた唇にほほえみをうかべました...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...子供は思ったよりも車ががたがたするので唇(くちびる)をまげてやっぱり少し怖いやうでした...
宮沢賢治 「車」
...唇の色までなくなったように見えた...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...唇はわなわなと顫えて...
夢野久作 「暗黒公使」
...冷然として唇を噛んでいた...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...寂しげな微笑(ほゝゑみ)が君の唇に上りました...
横瀬夜雨 「花守」
......
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...駿河台の墨屋敷で、すでに焼け死ぬところを助けだしてくれた恩人! あの紅蓮(ぐれん)の火をくぐって、切り破った板壁の穴から、「お千絵様!」と呼びかけた顔を、かの女は今まざまざと眼に浮かべて、唇をふるわせた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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