...なほ又僕の志賀直哉氏に及ばないのを「肉体的力量の感じの有無にある」と云ふのは全然僕には賛成出来ない...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...併し悲しい哉鈍根の身には...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...霜のふる夜を菅笠のゆくへ哉...
小穴隆一 「二つの繪」
...累々(るゐ/\)として徳孤ならずの蜜柑(みかん)哉という句の如きはその一例であったように記憶する...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...さうして、このお爺さんこそ、その左の頬の瘤を、本當に、ジヤマツケなものとして憎み、とかくこの瘤が私の出世のさまたげ、この瘤のため、私はどんなに人からあなどられ嘲笑せられて來た事か、と日に幾度か鏡を覗いて溜息を吐き、頬髯を長く伸ばしてその瘤を髯の中に埋沒させて見えなくしてしまはうとたくらんだが、悲しい哉、瘤の頂きが白髯の四海波の間から初日出のやうにあざやかにあらはれ、かへつて天下の奇觀を呈するやうになつたのである...
太宰治 「お伽草紙」
...そして放哉坊を思ひ出さずにはゐられない...
種田山頭火 「行乞記」
...放哉坊の『枯枝ぽきぽき折るによし』には...
種田山頭火 「其中日記」
...諸士請ふ手を携へて往かむ哉と...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...果せる哉(かな)でございました...
中里介山 「大菩薩峠」
...これを沽らん哉...
中島敦 「弟子」
...忙ノ利用大ナル哉...
※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]上漁史 「忙ノ説」
...曳哉々々といふ声をあげ...
牧野信一 「天狗洞食客記」
...もしも私が三井、岩崎の富を持っていたらそれを実現させてみせるけれど、悲しい哉(かな)、命なる哉、私はルンペン同様な素寒貧(すかんぴん)であれば、どうも幾らとつおいつ考えて見ても、とても一生のうちにそれを実行する事は思いも寄らない...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...○長い長い話をつづめていうと、昔天竺(てんじく)に閼伽衛奴(あかいぬ)国という国があって、そこの王を和奴和奴王というた、この王もこの国の民も非常に犬を愛する風であったがその国に一人の男があって王の愛犬を殺すという騒ぎが起った、その罪でもってこの者は死刑に処せられたばかりでなく、次の世には粟散辺土(ぞくさんへんど)の日本という島の信州という寒い国の犬と生れ変った、ところが信州は山国で肴(さかな)などという者はないので、この犬は姨捨山(うばすてやま)へ往て、山に捨てられたのを喰うて生きて居るというような浅ましい境涯であった、しかるに八十八人目の姨を喰うてしもうた時ふと夕方の一番星の光を見て悟る所があって、犬の分際(ぶんざい)で人間を喰うというのは罪の深い事だと気が付いた、そこで直様(すぐさま)善光寺へ駈(か)けつけて、段々今までの罪を懺悔(ざんげ)した上で、どうか人間に生れたいと願うた、七日七夜、椽の下でお通夜して、今日満願というその夜に、小い阿弥陀(あみだ)様が犬の枕上に立たれて、一念発起の功徳(くどく)に汝が願い叶(かな)え得さすべし、信心怠(おこた)りなく勤めよ、如是畜生発菩提心、善哉善哉、と仰せられると見て夢はさめた、犬はこのお告(つげ)に力を得て、さらば諸国の霊場を巡礼して、一は、自分が喰い殺したる姨の菩提を弔(とむら)い、一は、人間に生れたいという未来の大願を成就(じょうじゅ)したい、と思うて、処々経めぐりながら終に四国へ渡った、ここには八十八個所の霊場のある処で、一個所参れば一人喰い殺した罪が亡びる、二個所参れば二人喰い殺した罪が亡びるようにと、南無大師遍照金剛と吠(ほ)えながら駈け廻った、八十七個所は落ちなく巡って今一個所という真際(まぎわ)になって気のゆるんだ者か、そのお寺の門前ではたと倒れた、それを如何にも残念と思うた様子で、喘(あえ)ぎ喘ぎ頭を挙げて見ると、目の前に鼻の欠けた地蔵様が立ってござるので、その地蔵様に向いて、未来は必ず人間界に行かれるよう六道の辻へ目じるしの札を立てて下さいませ、この願いが叶いましたら、人間になって後、きっと赤い唐縮緬(とうちりめん)の涎掛(よだれかけ)を上げます、というお願をかけた、すると地蔵様が、汝の願い聞き届ける、大願成就、とおっしゃった、大願成就と聞いて、犬は嬉しくてたまらんので、三度うなってくるくるとまわって死んでしもうた、やがて何処よりともなく八十八羽の鴉(からす)が集まって来て犬の腹ともいわず顔ともいわず喰いに喰う事は実にすさましい有様であったので、通りかかりの旅僧がそれを気の毒に思うて犬の屍(しかばね)を埋めてやった、それを見て地蔵様がいわれるには、八十八羽の鴉は八十八人の姨の怨霊(おんりょう)である、それが復讐(ふくしゅう)に来たのであるから勝手に喰わせて置けば過去の罪が消えて未来の障(さわ)りがなくなるのであった、それを埋めてやったのは慈悲なようであってかえって慈悲でないのであるけれども、これも定業(じょうごう)の尽きぬ故なら仕方がない、これじゃ次の世に人間に生れても、病気と貧乏とで一生困(くるし)められるばかりで、到底ろくたまな人間になる事は出来まい、とおっしゃった、…………………というような、こんな犬があって、それが生れ変って僕になったのではあるまいか、その証拠には、足が全く立たんので、僅(わずか)に犬のように這い廻って居るのである...
正岡子規 「犬」
...悲しい哉、そういう蒐集家がこの世には絶えぬ...
柳宗悦 「民藝四十年」
...彼の手ぎわに感じて快哉をさけび合い...
吉川英治 「三国志」
...母に迷(は)ぐれた不知哉丸は...
吉川英治 「私本太平記」
...不知哉丸(いさやまる)とも...
吉川英治 「私本太平記」
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