...彼女は哀音に包まれて泣いていた...
...彼の哀音を聞いて、私は彼に同情した...
...喪に服している人々の中には、哀音がたえなかった...
...その映画のラストシーンで、哀音が流れた...
...彼の演奏する曲には、哀音が込められていた...
...故国のしめやかな哀音を耳にするのは...
阿部次郎 「帰来」
...無限の哀音は東西を絶して薄明の中を流れる...
阿部次郎 「帰来」
...清らかな哀音を耳にした...
池谷信三郎 「橋」
...「これで死んでしまってはつまらない」もがく力も乏しい最後の哀音(あいおん)...
伊藤左千夫 「去年」
...友に向って「我を憐め」との哀音を発するに至ったのである...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...堀川や西陣の場末の安い席亭にかゝる「大津ぶし」に人生の哀音をきいたことを忘れません...
竹久夢二 「砂がき」
...』れんめんとして尽きない哀音だ...
谷譲次 「踊る地平線」
...白い函の横に供へられた桔梗二三輪、鳩が二三羽飛んで来て、空にひるがへる、すすり泣きの声が聞える、弔銃のつゝましさ、ラツパの哀音、――行列はしゆく/\として群集の間を原隊へ帰つて行つた...
種田山頭火 「旅日記」
...かすかなバイオリンの哀音を聞かせるのが割に綺麗に聞きとれるので...
寺田寅彦 「ラジオ雑感」
...と哀音長く鳴り連れて居る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...朝な夕な波は哀音を送って...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...」一種悲愴な哀音を聞くやうである...
中村憲吉 「頼杏坪先生」
...切々たる哀音は、尊(みこと)を守って海神(かいじん)に身を贄(にえ)と捧(ささ)ぐる乙橘媛(おとたちばなひめ)の思いを伝えるのだった...
長谷川時雨 「朱絃舎浜子」
...独特なそこはかとない一脈の甘苦い哀音が漂うてゐる韻律に酔はされて...
牧野信一 「雪景色」
...朝霧に友惑はせる鹿の音(ね)を大方にやは哀れとも聞く私の心から発するものは二つの鹿の声にも劣らぬ哀音です...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...哀音惻々として一に蠶兒の糸を吐いて盡きざる如くなるや...
横瀬夜雨 「花守」
...紅葉の色に照り映って哀音には響かず...
横光利一 「夜の靴」
...チロルの唄は咽喉の擦り枯れたような哀音を湛え...
横光利一 「旅愁」
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