...この俳諧的哀調である...
心猿 「荷風翁の發句」
...腸(ちょう)の千切(ちぎ)れるような哀調(あいちょう)をおびた楽の音であった...
海野十三 「霊魂第十号の秘密」
...おまえさんにゃわかるまい」その声が何かしら惨澹(さんたん)たる哀調をおびていたので...
江戸川乱歩 「影男」
...物語りの哀調にさそわれて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...哀調に似たものを帯びていた...
太宰治 「グッド・バイ」
...婆様の老松(おいまつ)やら浅間(あさま)やらの咽(むせ)び泣くような哀調のなかにうっとりしているときがままございました程で...
太宰治 「葉」
...あの哀調は病める旅人の愁をそゝるに十分だ...
種田山頭火 「行乞記」
...この哀調は、小説家が其趣味から作り出した技巧の結果ではなかつた...
永井荷風 「里の今昔」
...哀調綿々たる歔欷(すすりなき)では有りませんか?凝然(じっと)黙って居た二人は...
西尾正 「陳情書」
...「それぢや早く見てやれ」さう言へば、哀調を帶びた、『まアだゞよう』と言つて居た女の子の聲が、先刻から聞えなくなつて居るやうです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...遠い昔の女性さへ偲ばれる哀調を帯びて珍しく弱音を吐かれたものであつた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...」妻は近頃Hに依つて覚へた「伊達男」と「誰かゞ私を待つてゐる」などゝいふ甘い甘い哀調を含んだ小唄を交互に繰り返して私の機嫌をとつた...
牧野信一 「歌へる日まで」
...実(げ)にもおもしろく長閑な哀調に富んだ節まはしで...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...さすらひの唄にネンネの節があり久良伎さすらひと追分一つ畠なり同ゆこか戻ろかオーロラの下に」の哀調には...
正岡容 「大正東京錦絵」
...どこか哀調をふくんだところではわざと目をほそめ...
室生犀星 「幻影の都市」
......
室生犀星 「抒情小曲集」
...咽(むせ)び泣くような哀調を帯びていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...わたしの好きなものはこの世に二つあるパリの夜の街の灯し火胸に描くはこころのふるさと矢代は由吉の哀調を帯びた唄を聞いているうちに...
横光利一 「旅愁」
便利!手書き漢字入力検索