...悠長で而かも一種哀調を帯びた琉球の俗謡を謡ひながら帽子を編む...
池宮城積宝 「奥間巡査」
...南京放送局の婦人アナウンサーが哀調を帯びた異国語で何かしら悠(ゆっ)くりと喋っている声だけが残っていた...
海野十三 「深夜の市長」
...腸(ちょう)の千切(ちぎ)れるような哀調(あいちょう)をおびた楽の音であった...
海野十三 「霊魂第十号の秘密」
...物語りの哀調にさそわれて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...手風琴に合わして朝鮮唄の哀調が漂って来る...
林不忘 「安重根」
...繁激なる近世的都市の騒音と灯光とは全くこの哀調を滅してしまつたのである...
永井荷風 「里の今昔」
...この哀調は、小説家がその趣味から作り出した技巧の結果ではなかった...
永井荷風 「里の今昔」
...繁激なる近世的都市の騒音と燈光とは全くこの哀調を滅してしまったのである...
永井荷風 「里の今昔」
...哀調綿々たる歔欷(すすりなき)では有りませんか?凝然(じっと)黙って居た二人は...
西尾正 「陳情書」
...駒込淺嘉町の大地主幸右衞門の家は、その廣さと裕福さのせゐで、いつものやうに森閑(しんかん)として、隱れん坊遊びの歌だけが、哀調を帶びて、屋敷中何處までも聽えるのでした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その子を思ふ切々たる哀調は永く読むものの心を打たずには置かないであらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...毫末も嫌味のない江戸前の哀調で...
正岡容 「大正東京錦絵」
...一四々(びび)、切々たる、哀調は、かすかに弾きすまされた爪びきの絃(いと)の音にからみ合いながら、人々の心を、はかない、やる瀬ない境に引き込んでゆくのであった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...明笛は独特の哀調がありますね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...哀調でなかったことはまず注意せられる...
柳田国男 「海上の道」
...哀調のある声でうたいだした...
山本周五郎 「お繁」
...もっともあのソプラノを一パイに張切ると持って生れた放浪的な哀調がニジミ出る...
夢野久作 「二重心臓」
...吹奏(すいそう)の律調(しらべ)の厳かな裡(うち)にも哀調があるところから察すると...
吉川英治 「宮本武蔵」
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