...手風琴に合わして朝鮮唄の哀調が漂って来る...
林不忘 「安重根」
...あの哀調は病める旅人の愁をそゝるに十分だ...
種田山頭火 「行乞記」
...哀調を帯びた牧歌の曲が漂ってきた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...千重子の笑いが哀調に変ろうとするとたん...
豊島与志雄 「自由人」
...この哀調は、小説家が其趣味から作り出した技巧の結果ではなかつた...
永井荷風 「里の今昔」
...」妻は近頃Hに依つて覚へた「伊達男」と「誰かゞ私を待つてゐる」などゝいふ甘い甘い哀調を含んだ小唄を交互に繰り返して私の機嫌をとつた...
牧野信一 「歌へる日まで」
...実(げ)にもおもしろく長閑な哀調に富んだ節まはしで...
牧野信一 「書斎を棄てゝ」
...毫末も嫌味のない江戸前の哀調で...
正岡容 「大正東京錦絵」
...一四々(びび)、切々たる、哀調は、かすかに弾きすまされた爪びきの絃(いと)の音にからみ合いながら、人々の心を、はかない、やる瀬ない境に引き込んでゆくのであった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...明笛は独特の哀調がありますね...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...哀調でなかったことはまず注意せられる...
柳田国男 「海上の道」
...うら悲しい朝鮮民謡の哀調がきこえてくるっていう話だ...
山川方夫 「その一年」
...哀調のある声でうたいだした...
山本周五郎 「お繁」
...咽(むせ)び泣くような哀調を帯びていた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...もっともあのソプラノを一パイに張切ると持って生れた放浪的な哀調がニジミ出る...
夢野久作 「二重心臓」
...若い日の自分の姿を思い描く哀調を...
横光利一 「夜の靴」
...人の心をとらえる哀調の詩とも古来いわれている所だ...
吉川英治 「随筆 新平家」
...吹奏(すいそう)の律調(しらべ)の厳かな裡(うち)にも哀調があるところから察すると...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索