...悠長で而かも一種哀調を帯びた琉球の俗謡を謡ひながら帽子を編む...
池宮城積宝 「奥間巡査」
...ある種の音は哀調に充ち...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...おまえさんにゃわかるまい」その声が何かしら惨澹(さんたん)たる哀調をおびていたので...
江戸川乱歩 「影男」
...物語りの哀調にさそわれて...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...あの哀調は病める旅人の愁をそゝるに十分だ...
種田山頭火 「行乞記」
...訳注『榾あかり』の唄――ロシヤ農家の宵の情景をうたった哀調ゆたかな民謡...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「イオーヌィチ」
...この哀調は、小説家がその趣味から作り出した技巧の結果ではなかった...
永井荷風 「里の今昔」
...遠い昔の女性さへ偲ばれる哀調を帯びて珍しく弱音を吐かれたものであつた...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...あの哀調に充ちた笛を「過ぎゆく時間の我々の耳に對するときをりの轉調...
堀辰雄 「クロオデルの「能」」
...尤も私などでも昭和初年始めて先代木村重松の哀調に接する迄は殆んど食はず嫌ひだつたし...
正岡容 「大正東京錦絵」
...節廻しに些か哀調のあつた音曲師の文廼家(ふみのや)かしくが北海道登別(のぼりべつ)温泉の結構雄大に瞠目して...
正岡容 「落語家温泉録」
...どこか哀調をふくんだところではわざと目をほそめ...
室生犀星 「幻影の都市」
...訴えるような哀調を帯びた声で...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...わたしの好きなものはこの世に二つあるパリの夜の街の灯し火胸に描くはこころのふるさと矢代は由吉の哀調を帯びた唄を聞いているうちに...
横光利一 「旅愁」
...哀調がありませんな...
吉川英治 「三国志」
...その紅唇からもれる詩(うた)の哀調に一座は水を打ったようにひそまりかえった...
吉川英治 「新・水滸伝」
...やや哀調をもって嘆願した...
吉川英治 「新・水滸伝」
...人の心をとらえる哀調の詩とも古来いわれている所だ...
吉川英治 「随筆 新平家」
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