...杜はポケットの底を探って一本の煙草を口に咥(くわ)えた...
海野十三 「棺桶の花嫁」
...村井氏は葉巻を咥(くは)へたまゝ後(あと)からのつそり蹤(つ)いて往つた...
薄田泣菫 「茶話」
...昭和十五年初乗や由井(ゆい)の渚(なぎさ)を駒(こま)並(な)めて一月一日厳(おごそ)かに注連(しめ)の内てふ言葉あり凍土(いてつち)につまづきがちの老の冬羽子板を犬咥(くわ)へ来し芝生(しばふ)かな一月八日 笹鳴会...
高浜虚子 「五百五十句」
...稲妻(いなずま)の如く迅速に飛んで来て魚容の翼を咥(くわ)え...
太宰治 「竹青」
...咥(くら)うべき餌食(えじき)と時とを待ち受けながら...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...葉巻咥((くは))へて歩いてゐる...
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー Jean Nicolas Arthur Rimbaud 中原中也訳 「ランボオ詩集」
...――獲物を咥(くわ)えた猟犬のような顔を見ると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...お今の足袋は犬でも咥(くわ)えて行ったとすると...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あの遺骨も開けてみたら土だけでね……」「生きて戻る兵隊も隨分多いことでせう……」障子ぎはの柱へ背を凭れさして孝次郎は煙草を咥へた...
林芙美子 「雨」
...指をなめる者パイプを咥(くわ)えるもの声を挙げる子供たち暗い空に風が唸る...
林芙美子 「新版 放浪記」
...咽喉はかわきなさらんか? どれ一服」彼は岩に腰かけて煙管(きせる)を咥(くわ)え...
本庄陸男 「石狩川」
...のう悲しやと喚くやら秘蔵の子猫を馬ほどに鼠が咥(くわ)えて駈け出すやら屋根では鼬(いたち)が躍るやら神武以来の悋気(りんき)争い」とある...
南方熊楠 「十二支考」
...銀の鎖を咥(くわ)えて...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...そのまま指を咥(くわ)えて引っ込む筈がない...
吉川英治 「剣難女難」
...煙管(きせる)を咥(くわ)えて...
吉川英治 「増長天王」
...彼女の左の二の腕を咥(くわ)えていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...火を咥(くわ)えている鳥と...
吉川英治 「宮本武蔵」
...咥(くわ)え込むように...
吉川英治 「無宿人国記」
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