...見る見る、黒髪に散る雪が、輝く膚(はだ)を露呈(あらわ)して、再び、あの淡紅色(ときいろ)の紗綾形(さやがた)の、品よく和やかに、情ありげな背負揚が解け、襟が開け緋が乱れて、石鹸(シャボン)の香を聞いてさえ、身に沁(し)みた雪を欺(あざむ)く肩を、胸を、腕(かいな)を……青大将の黒い歯が、黒い唾が、黒い舌が...
泉鏡花 「薄紅梅」
...作家が制作に没頭している時、そこには無我の楽土が広がっていて、神(しん)澄み、心和やかにして、一片の俗情さえも、断じて自分を遮りえないという、こういう境地に辿りつかないでは、うそだと思います...
上村松園 「苦楽」
...そうするとわたしの気持ちが和やかになるのである...
上村松園 「芸術三昧即信仰」
...和やかに色んな話をしたものです...
上村松園 「冷かされた桃割娘」
...膝を崩してみると気持まで砕けて和やかになりました...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「むかでの跫音」
...極めて和やかに円満に事が運んだものなのである...
高田保 「貸家を探す話」
...我宿ノマセノハタテニハフ瓜ノナリモナラズモ二人ネマホシなどといふ和歌を作られて一座を和やかに笑はせ...
太宰治 「右大臣実朝」
...急に顔じゅうを和やかにして...
谷崎潤一郎 「細雪」
...皆一緒になって和やかにいっていた家庭の調子が...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...和やかに、甘く、消入りそうな…………あとで聞くと、此の笛は、毎朝きまって此の時刻に吹かれることになっているのだそうだ...
中島敦 「光と風と夢」
...家の人達の気持が和やかになつて...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...いとも和やかに妙子の苦悶を見下して居ると言った...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...冬の訪れは小生の夢を和やかになぢませて...
牧野信一 「女優」
...いくつになつても余の胸を和やかにさせる...
牧野信一 「晩春日記」
...和やかにその一日を送ろうとする...
柳田国男 「年中行事覚書」
...身のまわりにいつも和やかに温たかい雰囲気(ふんいき)をつけていた由利江...
山本周五郎 「落ち梅記」
...ひとり和やかに沈む癖があった...
横光利一 「微笑」
...墨そのものに童顏の光りが和やかにこぼれてゐるからであらう...
吉川英治 「折々の記」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??