...その辺の闇のなかで呻くような声が幽(かす)かに聞えるようだった...
モオパッサン 秋田滋訳 「親ごころ」
...呻く時の顎をだらりと開けた様子は私の心に哀れを催させた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...一箇の呻く怪物の如き存在に化してしまっていたが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...額に、あぶら汗が滲み出て来て、苦しい、大きい息が、喘ぐように、呻くように、鼻から洩れかけた...
直木三十五 「南国太平記」
...また人間の呻く声を聞く...
中里介山 「大菩薩峠」
...地下の霊が悲しみ呻くようなかぼそい声が...
久生十蘭 「海豹島」
...廿日鼠は、たまげたような眼付で、瞬間、竜太郎の顔をながめたのち、あわてて書記台の上に顔をふせると、呻くような声で、いった...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...そのひとのいふ一言一句に身内の呻くやうな思ひをしながら...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 後篇」
...このやうな時はうんうんと呻くのだけが僅かの楽しみである...
北條民雄 「重病室日誌」
...呻くような低い叫をあげてハタと足を停(とど)めた...
松本泰 「緑衣の女」
...蛙一つ銜(くわ)え喉へ嚥(の)み下すたびに呻くので...
南方熊楠 「十二支考」
...と呻くように感じました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...呻くというより咆(ほ)えるというほうに近く...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...と佐八は呻くように云った...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...私です」ああと呻くような声が聞えた...
山本周五郎 「風流太平記」
...ううと重く呻くやうなう鳴りを上げながら...
横光利一 「榛名」
...身の安全な今のうちに日本の婦人と結婚してしまいたいと矢代は呻くように思った...
横光利一 「旅愁」
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