...起きるな西日をうけて熱くなった埃(ほこり)だらけの窓の硝子(ガラス)よりもまだ味気ない生命(いのち)がある...
石川啄木 「詩」
...世間の寡婦たちがつまらない貞操観に囚はれて味気ないさびしい空虚な日を送りながら果敢(はか)ない習俗的な道徳心にわづかになぐさめられてゐる気の毒さを――...
伊藤野枝 「貞操に就いての雑感」
...その味気ない疲労にもやがて慣れ...
梅崎春生 「Sの背中」
...味気ないものに思われました...
太宰治 「トカトントン」
...私はたった一人で桜山の百姓家の離れ座敷を借りて味気ないその日その日を送り迎えていた頃であったから...
橘外男 「逗子物語」
...わびしく味気ない……...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「嫁入り支度」
...×××××を時雨のやうに味気ないものだとは云はせないで...
林芙美子 「朝夕」
...味気ないさびしさに心を虫食われた...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...味気ないものばかりだが生卵子で流し込む...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...味気ない世の中だ...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...」D「僕は尾崎士郎を個人的に知つてゐるが、彼には「河鹿」といふ名品がある、その他にもあるが、彼はあまりに慌しく様々な未完成的作品を書き飛ばし飄々として居を定めぬといふ風な生活を送つてゐるので、味気ないが、彼の永久に若々しい芸術的情熱は信頼が出来る、間もなく書斎に落着いて颯爽たる人生派文学の逸品を物するであらう、人生々活の自由なる遍歴者の姿に、流行も、古きも、新しさも、何の病ひあるものぞや、「悲劇を探す男」の作者よ、寒い風を袋一杯溜め込んで、S・S・F(サンニー・サイド・フール)――の愚劣な夢を吹き飛して呉れ...
牧野信一 「新興芸術派に就いての雑談」
...事に触れて見えた味気ないという気持ちの哀れであった中にも...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...おお何とそれはばからしく味気ない馴れ合いであろう!われは死せる獅子の髯(ひげ)を抜くことを欲せず...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...全く味気ないものになり果てました...
柳宗悦 「民藝四十年」
...「あやまちのない人生というやつは味気ないものです...
山本周五郎 「橋の下」
...考えると味気ない...
吉川英治 「大岡越前」
...味気ない安酒宴(やすざかもり)のご満悦が下らなくなるな...
吉川英治 「剣難女難」
...味気ない空しさでも抱いてるような彼に見える...
吉川英治 「私本太平記」
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