...「何して斯う自分を虐めてるんだらう? たゞこんなことを言つて見るのか知ら?」私はさう心の中で呟いた...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...どこにも無いのだ」と低く独りごとのように呟(つぶや)いて...
太宰治 「駈込み訴え」
...」と低く呟(つぶや)くように言って...
太宰治 「火の鳥」
...「わしも、昨日までのわしではなくなった」と、一人が呟いた...
直木三十五 「南国太平記」
...金五郎は、妻からされたように、黙って、キザミを雁首につめ、火をつけ、一口吸って、マンに煙管をかえしてから、「おれは、駄目じゃ」と、唇を噛んで、呟いた...
火野葦平 「花と龍」
...「ほんたうに昔はこの森には烏天狗が住んでゐたのかな?」見物人のひとりが吐息といつしよに呟いた...
牧野信一 「創作生活にて」
...みや子は何か託つような調子で呟いた...
宮本百合子 「伊太利亜の古陶」
...あの絵もいけない」彼はこう呟いて頭を振った...
山本周五郎 「おれの女房」
...「風邪が治ったか、だなんて」栄二は掛夜具を頭までかぶり、囁き声で呟いた、「――あいつは相変らずだ、あのとき風邪をひいてたからって、百日ちかくも経っているのに、治ったかどうかだなんて」ばかなことを云うやつだ、と呟きながら、彼は掛夜具を掴み、こみあげてくる嗚咽をけんめいにこらえていた...
山本周五郎 「さぶ」
...まぬけなやつだなと呟いた...
山本周五郎 「さぶ」
...つくづくいやな世界だ」成信はこう呟やき...
山本周五郎 「泥棒と若殿」
...よほど困ればそういって来るだろう」そう呟いて...
山本周五郎 「花も刀も」
...思いだした」と昂軒は呟いた...
山本周五郎 「ひとごろし」
...「むだだ」と雅楽頭は呟いた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...蒼ざめた眼に恐怖を泛べて呟いたときの...
横光利一 「旅愁」
...わしが思わぬ禍(わざわ)いに遭(あ)って、洞白の仮面(めん)をたずねることもあのままになっておるが、とにかく、浩然(こうぜん)の気を養った上で、またいい分別もあろうというものだ」「もう、あの晩から、二十日にもなります」「そうか、早いものだな」「家(うち)では、おっ母(かあ)が心配しているだろうし、高麗村(こまむら)では月江様が、次郎はどうしているのかと案じているだろうと思うと、おいらも、時々、悲しくなるんです」「心配するな、そのうちに、きっとお前の詫びはかなえてやる」「でも、あの仮面(めん)が、こッちの手へはいらなければ……」と、さびしげに、呟いているうち、彼の目が、ふと向うの立て看板の文字に吸いつけられました...
吉川英治 「江戸三国志」
...着せてやりたいが……」軽い嘆息(ためいき)して呟(つぶや)くと...
吉川英治 「春の雁」
...心の中で呟(つぶや)いた――おやじは...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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