...夜風の吹き渡る往来は多少胃の痛みの薄らいだ僕の神経を丈夫にした...
芥川竜之介 「歯車」
...大風の吹き渡る音と一しょに忽(たちま)ち又空中へ消えてしまった...
芥川龍之介 「三つのなぜ」
...実に一昨日(をとつひ)の秋風すずろに蒼古の市に吹き渡る穏やかな黄昏時(たそがれどき)であつた...
石川啄木 「葬列」
...實に一昨日(をとつひ)の秋風すずろに蒼古の市に吹き渡る穩やかな黄昏時(たそがれどき)であつた...
石川啄木 「葬列」
...波のように揺り動かして吹き渡る...
伊藤野枝 「転機」
...川面を吹き渡るそよ風に伝わって洩れて来ます...
谷崎潤一郎 「幇間」
...秋風のさびしく其上を吹き渡る具合など君でも行つたなら...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...淋しい風が吹き渡ると...
寺田寅彦 「秋の歌」
...家(いへ)の後(うしろ)の玉蜀黍(たうもろこし)の畠(はたけ)に吹き渡る風の響(ひゞき)が夜なぞは折々(をり/\)雨かと誤(あやま)たれた...
永井荷風 「すみだ川」
...家の後(うしろ)の玉蜀黍(とうもろこし)の畠に吹き渡る風の響(ひびき)が夜なぞは折々(おりおり)雨かと誤(あやま)たれた...
永井荷風 「すみだ川」
...野分(のわき)の風が颯(さっ)と吹き渡ると...
中里介山 「大菩薩峠」
...南風が軟かに且つ凉しく野茨の花に吹き渡る...
長塚節 「おふさ」
...川面を吹き渡る冷たい風が...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...自分の前に展らかれる永劫の花園の微な薫香を吹き渡る風に感じて居るのに違いない...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...笹原の上を風の吹き渡るに心づきて見れば...
柳田国男 「遠野物語」
...二番太鼓……貝の音が吹き渡る...
吉川英治 「剣難女難」
...吹き渡る松風の中を...
吉川英治 「新・水滸伝」
...晴れた空の下長い間隔を置いて砂を吹き渡る強風についての...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「時間からの影」
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