...と云うんです……まだ寒いカラッ風の吹く冬の晩のことなんです……で...
大阪圭吉 「あやつり裁判」
...いきなり頭の方へ噛み付くと皮が破れて緑色の汁が玉のように吹き出した...
寺田寅彦 「蜂が団子をこしらえる話」
...牛込区内では○市ヶ谷冨久町(とみひさちょう)饅頭谷(まんじゅうだに)より市ヶ谷八幡鳥居前を流れて外濠(そとぼり)に入る溝川○弁天町(べんてんちょう)の細流○早稲田鶴巻町(つるまきちょう)山吹町(やまぶきちょう)辺を流れて江戸川に入る細流...
永井荷風 「葛飾土産」
...折々向河岸(むこうがし)なる椎(しい)の木屋敷の塀外(へいそと)から幽(かす)かに夜駕籠(よかご)の掛声を吹送って来る川風に得もいわれぬ匂袋(においぶくろ)の香(か)を伴わせ...
永井荷風 「散柳窓夕栄」
...自分で吹いて、自分の音色に聞き惚れていると、金の鈴を振るような制多伽童子の音声が、常住不断に耳もとで鳴りひびいています...
中里介山 「大菩薩峠」
...うろ覚えの伊太利(イタリー)の小唄を、口笛で吹き乍ら、小砂利を踏んで、ザクザクと歩いて居ると不思議なものが私の眼に入って来たのです...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...快い初夏の夜風に胸を吹かせながら...
久生十蘭 「金狼」
...色紙の吹雪の中へあわれな骸を横たえるはずであったじぶんが...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...木枯に吹きよせられた真鴨が三羽...
久生十蘭 「ボニン島物語」
...ペトローヴィッチがどのくらい吹っかけるだろうかと考えて...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「外套」
...ふつふつと小さいおきの落ちたのを一枚の仕上った敷布の上から吹きはらった...
「赤い貨車」
...よい香の混じった風の吹き通ったことも確かな事実であったが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...谷の奥から吹き出すという意味であったろうが...
柳田国男 「海上の道」
...そうして自分もまた口でシービビといって吹くためか...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...川から吹きあげる風に...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...――と釘勘はその笛吹きのなかに...
吉川英治 「江戸三国志」
...「お忘れではございませんでしたか」「何で忘れようぞ」「伊吹の夜のことも」「いうまではない」彼女は...
吉川英治 「私本太平記」
...針で突けば血の吹きそうな耳朶(みみたぶ)をしている...
吉川英治 「鳴門秘帖」
便利!手書き漢字入力検索