...この「名も知れぬ小草の花」が綺譚のヒロインお雪であるといふかも知れない...
心猿 「荷風翁の發句」
...その、名も知れぬ鳥は、空高く飛びあがると、あわてふためいて、峰つづきのとなりの山の方へ飛んで行ってしまった...
海野十三 「火星兵団」
...中腹には名も知れぬ小さい神社があった...
江見水蔭 「壁の眼の怪」
...水際には名も知れぬ雑草が蔓(はびこ)っていました...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「消えた霊媒女」
...そして名も知れぬ山鳥が一鳴きすると花片(はなびら)が一斉に散った...
田中貢太郎 「西湖主」
...名も知れぬ雑草が茫々と生えていた...
豊島与志雄 「どぶろく幻想」
...溝(どぶ)や堀割の上にかけてある名も知れぬ小橋を見る時なぞ...
永井荷風 「日和下駄」
...唯名も知れぬ野禽(やきん)の声を聞くばかりである...
永井荷風 「放水路」
...――或いはまた名も知れぬ...
西尾正 「墓場」
...屋根には名も知れぬ草が生えて...
二葉亭四迷 「平凡」
...その女は名も知れぬ...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...名も知れぬ民衆の労作である...
柳宗悦 「工藝の道」
...なぜならそれは多く名も知れぬ片田舎にあるからです...
柳宗悦 「民藝四十年」
...それらの多くは片田舎の名も知れぬ故郷で育つのである...
柳宗悦 「民藝四十年」
...野の中に名も知れぬ寒駅がぼんやりと横たはつてゐた...
横光利一 「頭ならびに腹」
...名も知れぬ魚の料理とは...
吉川英治 「三国志」
...名も知れぬ島嶼(とうしょ)のかげに隠れこんだ相手の大小の船をみると...
吉川英治 「私本太平記」
...名も知れぬ誰やらが歌つた...
若山牧水 「樹木とその葉」
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