...足にさはりて和らかき名もなき草の花ふみて...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...心なき人の足下に蹂躙せらるる野末の花に等しい名もなき小売人の中にこそ我が学ぶべき師はあるものと信ずる...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...元来は名もなき鳥の雛なれども幼少より練磨(れんま)の功空(むな)しからずしてその声の美なること全く野生の鶯と異れり...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...名もなき女童(をんなわらべ)共と一つ所に起き伏しゝて合戦の駈引(かけひき)なんど知るに由なく...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...「名もなき女童共」と一緒にされたのは無念であったかも知れないが...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...法師丸から見れば「名もなき」者共であろうけれども...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...名もなき鬼に襲われて...
夏目漱石 「幻影の盾」
...上に名もなき雜草が植ゑつけられ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私は寧ろ名もなき人の子として生れたかったのです...
浜尾四郎 「殺された天一坊」
...名もなき並び議員のくせに...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...またお婆さんのような仕事をしてきた無数の名もなき人たちから...
柳宗悦 「益子の絵土瓶」
...名もなき海上の猛者(もさ)ばかりであった...
柳田国男 「海上の道」
...一方は名もなき草叢裡(そうそうり)の窮措大(きゅうそだい)翁となり果てたまま悠々久濶(きゅうかつ)を叙(じょ)する...
夢野久作 「近世快人伝」
...名もなきものにござりますが...
吉川英治 「上杉謙信」
...名もなき暴戦をして...
吉川英治 「三国志」
...ごらんのような、名もなき、田舎(いなか)武門のあるじなどへ」藤房もまた、あらたまって...
吉川英治 「私本太平記」
...名もなき輩(やから)が出世のいとぐちを求めて来るに過ぎなかった...
吉川英治 「新書太閤記」
...西方にある名もなき恐怖の山脈に源を発する大河によって浸食されたもので...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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