...封筒もなく署名もないが...
伊庭心猿 「緑雨と一葉」
...誰も知った人もない名もない頃の私なのですから「アッ又来やはった」などと小僧さんや丁稚(でっち)さん達が...
上村松園 「座右第一品」
...鼠の外貌(そつぽう)がこの悪戯者(いたづらもの)に似てゐるのは、飛んだ幸福(しあはせ)で、名もない、ちんちくりんな野鼠までが長い口髯を捻(ひね)りながら、象を脅(おど)かす事が出来るのだ...
薄田泣菫 「茶話」
...「いずれは名もない三文文士にちがいないんで...
高見順 「いやな感じ」
...高山名山には親しめないが、名もない山、見すぼらしい山を楽しむ...
種田山頭火 「『鉢の子』から『其中庵』まで」
...ただ科学の野辺に漂浪して名もない一輪の花を摘んではそのつつましい花冠の中に秘められた喜びを味わうために生涯を徒費しても惜しいと思わないような「遊蕩児(ゆうとうじ)」のために...
寺田寅彦 「科学に志す人へ」
...光子中身は月日も宛名もないただそれだけのものだった...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...小さな教会堂のとなりの名もない墓に葬ったとき...
マリー・ルイーズ・ド・ラ・ラメー Marie Louise de la Ramee 菊池寛訳 「フランダースの犬」
...名もない一僧侶(いちそうりよ)に...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...我々が初めて会ったのはモンマルトル街の名もない図書館で...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「モルグ街の殺人事件」
...路傍などによく見かける名もない小さな石仏のようなものにも目を止めるようにしていた...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...国鉄の名もない被整理従業員たちのだれかれの一家の...
宮本百合子 「権力の悲劇」
...明日此処を立とうとしているのに署名もないもんだ...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...名もない喜阿弥の陶工のために...
柳宗悦 「雲石紀行」
...日付もなければ署名もない...
山本禾太郎 「抱茗荷の説」
...名もない田舎の山にかかると...
吉川英治 「三国志」
...名もない平氏の地侍などに...
吉川英治 「源頼朝」
...それに落つる他の名もない渓が...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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