...そして胸を衝(つ)くような長い石段が――こんな名もない田舎寺には勿体ないような長いじめじめとした石段が見上げるような頭上の山の頂に列(つら)なっていて...
橘外男 「逗子物語」
...名もない小っぽけな連中の言うことをなぜ尊重できたのか...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...殿上の名もない一女官がおぼつかない筆で書いた日記体のものでも...
寺田寅彦 「科学と文学」
...光子中身は月日も宛名もないただそれだけのものだった...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...所々に名もない箪が出てるきりだったが...
豊島与志雄 「月明」
...自分は名もない一人の旅人に過ぎないと宣言することは...
豊島与志雄 「故郷」
...自分は名もない一人の旅人に過ぎないと真実に宣言することは...
豊島与志雄 「故郷」
...宛名も署名もないものだ...
豊島与志雄 「南さんの恋人」
...名もない職人がこめた信仰の力におのずから引き出された賛美歌であったにちがいない...
永井隆 「この子を残して」
...いずれ名もない出稼ぎの人夫の一人であったのであろうが...
中谷宇吉郎 「雪」
...オニイルは名もない水夫で...
林芙美子 「新版 放浪記」
...名もない場末の木賃宿へ泊り込んで...
牧逸馬 「アリゾナの女虎」
...名もない陶工なのだ...
柳宗悦 「工藝の道」
...名もない日本の小河童連(かっぱれん)の手でタタキ落させ...
夢野久作 「暗黒公使」
...とかくこの鎌倉では「名もない土豪の小さかしい野心沙汰」と見て...
吉川英治 「私本太平記」
...名もない田舎の郷士だの田野の民が...
吉川英治 「新書太閤記」
...誰も彼を待ったらしい者は一名もないのだった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...名もない木立の冬枯...
若山牧水 「樹木とその葉」
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