...そのまた彼の頭の上には真鍮(しんちゅう)の油壺(あぶらつぼ)の吊(つ)りランプが一つ...
芥川龍之介 「彼」
...紙笠の破れた三分心の吊洋燈(つりらんぷ)の下(もと)で...
石川啄木 「鳥影」
...旅籠屋の女中が雉子の死んだのを窓に吊してゐる...
ルイ・ベルトラン Louis Bertrand 上田敏訳 「ハルレム」
...その度に眼が吊(つ)り上る...
梅崎春生 「幻化」
...総一郎を吊りあげたろうかと考えるのに...
海野十三 「蠅男」
...それでもなるべく目立たないように吊り下げる...
太宰治 「ろまん燈籠」
...度ぎつい電球が裸のままでところどころに吊ってあるから明るさも明るいが...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...天井の隅には拡げた日傘が吊してある...
寺田寅彦 「異郷」
...吊棚から戸棚の透間へ入り込んで...
中里介山 「大菩薩峠」
...女はその胴巻を無雑作(むぞうさ)に吊(つる)し上げて...
中里介山 「大菩薩峠」
...人足に担(かつ)がせた吊台に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ゆき子は酔つた眼を吊りあげてゐる...
林芙美子 「浮雲」
...丈は不吊合(ふつりあい)に伸びていて...
マルセル・プレヴォー Marcel Prevost 森鴎外訳 「田舎」
...その景気づけに高く吊(つ)ってある提灯だと分るとその赤い色が非常に愉快に見えて来た...
正岡子規 「熊手と提灯」
...一〇長崎屋三郎兵衛は、茶無地の羽織に、細かい縞物、みじん隙のない大商人風だが、今夜の顔色は、いつに似ず、青黒く、目が吊って、表情にあからさまな不機嫌さが、漲(みなぎ)っていた...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...非常な勢いで帰って来た江馬兆策が、妹の出したお茶も飲まない無言のまま、ガタンピシンと戸棚を引開けて、あらん限りの服、帽子、靴、ズボン吊、トランクを引ずり出して旅支度を初めたのを、妹の美鳥(みどり)がしきりに心配して止めているのであった...
夢野久作 「二重心臓」
...吊(つ)り燈籠が星をつらね...
吉川英治 「私本太平記」
...御所内の濠(ほり)の吊橋を...
吉川英治 「源頼朝」
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