...吊しかけた木製の棒の柔かく打ち耗(へ)らされた一端で打つからである...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...電球は必要以上に高く吊られていた...
梅崎春生 「狂い凧」
...藪(やぶ)から切って来たばかりの青い葉のついた竹に五色の紙を吊(つ)り下げて...
太宰治 「作家の手帖」
...眼が細く吊(つ)り上っていて...
太宰治 「人間失格」
...ソノ頸椎ヤ腰椎ヲ矯正スルニハ寝台ヲ斜面ニシタ上ニ寝テ首ヲ上方ニ吊リ上ゲタリ...
谷崎潤一郎 「瘋癲老人日記」
...それにふさわしいうすものゝ蚊帳(かや)が吊(つ)ってあった...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...ちょうど私がその鉄砲風呂の方を振り返ったとき、吊り橋の上から、「おーい」と呼んだ者があった...
谷崎潤一郎 「吉野葛」
...その扉の外面にも棚が吊つてあつて...
レオ・トルストイ Lev Nikolaevich Tolstoi 森林太郎訳 「パアテル・セルギウス」
...銭形平次は駕籠を吊らせて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あつしのやうに華魁摺れがして居ると、少し出來の良い菊人形ほどにも思はないが」「相變らずお前の言ふことは亂暴だな」「兎も角も、眉(まゆ)を落して、花の影のやうに、フンワリと動く内儀を見てそつと溜息を吐いたり、涙ぐんだり、手紙ばかり書いたり、その手紙は皆んな噛み碎いたり、揉みくちやにして捨てたのが、うつかり風に吹かれて飛んだのを、拾つて見た奴があるんだから面白いでせう」「本人は面白くないよ」「いくら女郎上りでも、今は主人の内儀でせう、それに命がけで惚れるなんて不心得な奴は、面白がつたつて構ひませんよ」「で?」「誰が見たつて、内儀のお袖殺しの下手人は、この手代の美代吉でせう、――尤も私は最初はあの繼娘(まゝむすめ)のお柳かと思ひましたが」「お柳ではあるまいよ、僞の證據も言ひ逃れも拵へちや居ないし、樣子がいかにも平氣だ、手拭がお柳のとわかつても、大して驚いた樣子も無い、餘程大膽不敵な女で無きや、先から先のよく見える賢(かしこ)い女だ」「ね、さうでせう」「それに、内儀のお袖が、蚊帳も吊らずに、たつた一人で居るところへ、不斷からあまり仲の好くない繼娘のお柳が入つて行つて、後ろから自分の手拭を卷きつけて、締め殺すといふ圖は考へられないぢやないか」「すると、下手人は矢張り手代の美代吉でせう、親分」「さう言ふことになるかな」「ところが、その美代吉は、昨夜此家に居なかつたんですよ」「?」「町内の衆と大山樣へお詣りに行つて、今朝遲く、皆んなと一緒に戻つて來ましたよ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...網棚から兵児帯を吊して...
葉山嘉樹 「乳色の靄」
...緑青の噴(ふ)いた古ぼけた鐘が吊されてあって...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...窓に吊るしてあって...
森鴎外 「雁」
...布団を被(かぶ)せた吊台(つりだい)が舁(か)き出された...
森鴎外 「鼠坂」
...お嬢様が……千浪様が」と五平は抱き起されながら彼方(あなた)を指して舌を吊らせた...
吉川英治 「剣難女難」
...円心か」「ごきげんうるわしゅう……」「片手を頸(くび)に吊っておるが...
吉川英治 「私本太平記」
...「吊っておきました」「よしよし...
吉川英治 「新書太閤記」
...動かぬ眸が吊り上がっている...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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