...オーソドックスヲ好ム彼女ハ毎年ノ吉例ニ従イ...
谷崎潤一郎 「鍵」
...吉例によつて、お屠蘇とお雑煮だけは缺かさない、独り者にも春は来にけり、さても結構なお正月で御座います、午後になつて出かける、まづ千体仏へ、老師はお年始まはりで不在、つぎに茂森さん宅へ、こゝも廻礼でお留守、――歩くのが嫌になつて、人間がうるさくなつて、そのまゝ帰つて来た、夕方、思ひがけなく元坊来訪、今夜また馬酔木居で会合することを約束する、何も御馳走するものがないから密(マヽ)柑をあげる、私はお雑煮やりそこなひの雑炊を食べて、ぶら/\新市街の雑踏を歩いて、馬酔木さんを訪ねる、いろ/\お正月の御馳走になる、十分きこしめしたことはいふまでもない、だいぶおそくなつてSの店に寄つた、年賀状がきてはゐないかと思つて、――が、それがいけなかつた、彼女の御機嫌がよくないところへ、私が酔つたまぎれに言はなくてもいゝ事を言つた、とう/\喧嘩してしまつた、お互に感情を害して別れる、あゝ何といふ腐れ縁だらう!暁、火事があつた、裏の窓からよく見えた、私は善い意味での、我不関焉で、火事といふものを鑑賞した(罹災者に対してはほんたうにすまないと思ひながらも)...
種田山頭火 「行乞記」
...その後正月の吉例にまたわざと同じ事を話して笑ったりしたこともあった...
寺田寅彦 「新年雑俎」
...酉(とり)の市(いち)の晩には夜通し家を開け放ちにして通りがかりの来客に酒肴(さけさかな)を出すのを吉例としていたそうである...
永井荷風 「里の今昔」
...これがその後ずっと元日の吉例になっていたということである...
中里介山 「法然行伝」
...吉例の勝抜き一本勝負をやり...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...やがて、正面の幕に写しだされたのが、吉例の『福助』...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...吉例の如く午前中ワンカットで昼休み...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...吉例にしたがって限定版の詩集一冊...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一四 物始め吉例として元日または二日の日に行う仕事の種類...
柳田国男 「年中行事覚書」
...最も古いのは明和二年版の英一蝶の俳句入り「梅尽(うめづくし)吉例双六」で...
山本笑月 「明治世相百話」
...昔からの吉例になっているんだからね...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...毎朝の吉例どおり...
吉川英治 「剣難女難」
...この会の吉例として...
吉川英治 「三国志」
...吉例といたしてもよいかと存じまする」と...
吉川英治 「新書太閤記」
...出陣の吉例として口々に...
吉川英治 「新書太閤記」
...翌日は吉例のゴルフ会をなす...
吉川英治 「年譜」
...そこで野天が吉例(きちれい)となっておるが...
吉川英治 「梅里先生行状記」
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