...両親が会いにくるにも間に合わないで永久の暗に沈まんとする...
伊藤左千夫 「去年」
...調子の合わないものが二三あるらしく...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...いちど、N氏の出版記念会の時、その時には、私には着ている丹前の他には、一枚の着物も無かったので、友人のY君から洋服、シャツ、ネクタイ、靴、靴下など全部を借りて身体に纏(まと)い、卑屈に笑いながら出席したのであるが、この時も、まことに評判が悪く、洋服とは珍らしいが、よくないね、似合わないよ、なんだって又、などと知人ことごとく感心しなかったようである...
太宰治 「服装に就いて」
...東京風の渋い縞物(しまもの)などはまるきり似合わないたちであった...
谷崎潤一郎 「細雪」
...一途(いちず)に思いつゞけていたのだ」「お文(ふみ)をお持ちになりましたの」女童は長たらしい泣きごとには取り合わないで...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...もっともこれは楽器の音色が合わないのではないが...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...その心掛けは併し就職して了ってからでは多分間に合わないだろう...
戸坂潤 「社会時評」
...逃げ間に合わない...
中里介山 「大菩薩峠」
...それは今まで彼女の口にしつつあった甘い言葉とは全く釣り合わない妙な輝やきであった...
夏目漱石 「明暗」
...義理はとにかく、論理に合わない...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...眼にはいるものがみな二重に見えて焦点が合わない...
久生十蘭 「新西遊記」
...ちっとも似合わないや……」それっきり...
堀辰雄 「麦藁帽子」
...こんな粗雑な出来事はおれの肌には合わない...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...邪睨邪視には合わない...
南方熊楠 「十二支考」
...事実に合わないのである...
矢部貞治 「政治学入門」
...それでさえ間に合わないほど...
吉川英治 「新・水滸伝」
...惟政に似合わない油断の結果であった...
和辻哲郎 「鎖国」
...舞台で見栄を切ることはわたくしの性には合わない...
和辻哲郎 「夢」
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