...「お末何んだつて食べないんだ」「食べたくないもの」何んと云ふ可憐ななつッこい声だらうと鶴吉は思つた...
有島武郎 「お末の死」
...沖縄群島の住民を可憐なる状態から救うたということがおわかりになりましょう...
伊波普猷 「琉球史の趨勢」
...罪の道伴(みちづ)れとなった不運の宗一の可憐な写真や薄命の遺子の無邪気に遊び戯れるのを見ては誰しも涙ぐまずにはいられなかった...
内田魯庵 「最後の大杉」
...可憐なるヒルミ夫人は若き夫万吉郎のことを思いつめていたのである...
海野十三 「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」
...それからどんな可憐な少女の頭にも見られないような...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...非常に優しい声で可憐な返答をしたその声が妙に紳士の心を動かし...
寺田寅彦 「話の種」
...稻の葉に止まつた可憐な姿又籠の中の小天地に元氣に飛び交ふ樣などを飽かず眺めて樂しむのであつた...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...まことに可憐な詩句と自由な愛がうたわれている...
中井正一 「カットの文法」
...可憐なる小夜子は...
夏目漱石 「虞美人草」
...そして可憐な娘でした...
野村胡堂 「悪魔の顔」
...しかし鶯という可憐な小鳥が...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...可憐な小夜子は決して金のことをいったのではありませぬ...
浜尾四郎 「死者の権利」
...町へ出ると雪が降つてゐる停車場で汽車の窓を叩いてゐる可憐な異人娘の看板を見たその頃の私の雑記帳はどの頁もカチユーシヤの顔でいつぱいだつた...
林芙美子 「蒼馬を見たり」
...蕎麦の花のやうに可憐な女です...
林芙美子 「谷間からの手紙」
...可憐なる少女のごとく狡くてしかも優雅であること...
堀辰雄 「Ombra di Venezia」
...妙に浅ぐろいために何か可憐な可愛(かわい)げのある顔つきであった...
室生犀星 「三階の家」
...傲然(ごうぜん)ここへ臨むと思いのほか――供といえば可憐な一少年ひとりしか見えない...
吉川英治 「新書太閤記」
...大神宮に仕える可憐な清女たちが住む家だった...
吉川英治 「宮本武蔵」
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