...それは只だ空気がその曲つた孔の中に出入りする音なのだ...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...どうぞこちらへ――只今...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...只今照が申通りで御座いますから...
田澤稲舟 「五大堂」
...只今(ただいま)家具や台所道具などを購入中ですが...
谷崎潤一郎 「細雪」
...只葉子ばかりはひたすら骨牌に身を入れた...
豊島与志雄 「恩人」
...神官(しんくわん)は其處(そこ)に讀(よ)み至(いた)ると當日(たうじつ)の神社(じんじや)を只(たゞ)口(くち)の先(さき)でいふのである...
長塚節 「土」
...今は只大きな古跡として残っている...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
...只今は、また真名古と申すものが推参いたし、いろいろと、御名誉を損傷いたしましたようで、実に慮外なことでありまして、その者はもはや厳重なる懲戒処分に附しましたが、それにつきまして、こうして、われわれ両人が」息も絶え絶えといった体なんです...
久生十蘭 「魔都」
...只(ただ)その場を逃げさえすれば宜(よろ)しいと覚悟して...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...只(たゞ)以前(まへ)よりも稍々(やゝ)廣(ひろ)く齒(は)を出(だ)して見(み)せたばかりでした...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
...蓼科は日本で只一ヵ所海の気流に左右されない真の高原地帯なのですって...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...わたくしは只蘭軒が何故に菅茶山のために寿詞を作らなかつたかを怪む...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...只舳(へさき)に割(さ)かれる水のさゝやきを聞くのみである...
森林太郎 「高瀬舟」
...いずれにしてもこの「翁」披露能は一躍只圓翁をして福岡地方の能楽界の重鎮たらしめる程の大成功を収めたらしい...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...かくの如く福岡の喜多流の今日在るは全く故只圓翁の遺徳を基礎としたもので...
夢野久作 「梅津只圓翁伝」
...只一人紅矢の枕元に椅子を引き寄せて座りました...
夢野久作 「白髪小僧」
...只走るより外に法はない...
吉江喬松 「山岳美觀」
...「只今罪を問われるならば...
吉川英治 「三国志」
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