...入口の板戸に古風な錠前のかかった座敷があちこちに見えた...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...博士はマッチの火で、とろとろ辻占の紙を焙(あぶ)り、酔眼をかっと見ひらいて、注視しますと、はじめは、なんだか模様のようで、心もとなく思われましたが、そのうちに、だんだん明確に、古風な字体の、ひら仮名が、ありありと紙に現われました...
太宰治 「愛と美について」
...極彩色の古風な大時計がことに私たちの眼を惹いた――それはいいとして...
谷譲次 「踊る地平線」
...表面古風な女としてのあなたを眺めていたいと思うのですが――...
谷譲次 「踊る地平線」
...古風な武家屋敷はだいぶ荒廃してはゐるが...
種田山頭火 「旅日記」
...老人は古風な宗教の習慣に夢中でした...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「とけない問題」
...子供の時分に夢に見ていた古風な風景画の景色が到るところ眼前に拡がっていた...
寺田寅彦 「異郷」
...飲めばきっと嘔吐(おうと)したり下痢したりするという古風な趣味の人の多かったころであった...
寺田寅彦 「コーヒー哲学序説」
...古風な環境から飛び離れたものになってる点では...
野上豊一郎 「シェイクスピアの郷里」
...日本橋にはそういう古風なところが多く...
長谷川時雨 「流れた唾き」
...古風なスカートのように肥って沈黙った女だった...
林芙美子 「新版 放浪記」
...さうしてこれらの家々もみな古風な舶来銅版画の趣...
正岡容 「旧東京と蝙蝠」
...何も古風な招き行燈や木戸口でなくていい...
正岡容 「寄席風流」
...穏かな街にラベンダア売りの古風な呼声が聞えていた...
松本泰 「日蔭の街」
...只今湖畔の古風な宿の広縁で椅子にかけ小テーブルでこれをかいて居ります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...古風な民間の信仰の清らさを留(とど)めている...
柳田国男 「山の人生」
...秋蘭は古風な水色の皮襖(ピーオ)を着て...
横光利一 「上海」
...トレソルウルの家では、入口は、二階の下の凹所に、古風な、花崗石の太い柱をした戸である...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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