...と言いつつ懐中から古びたコンパスを出して見せた...
太宰治 「地球図」
...縞(しま)の単衣(ひとえ)に古びた透綾(すきや)の夏羽織を着て...
田山花袋 「田舎教師」
...或日主人は外から帰って見ると先祖代々住古(すみふる)した邸宅は一見新(あらた)に建直(たてなお)されたのかと思うばかりその古びた外観を改めまた昔の懐しい家具は椅子(いす)卓子(テーブル)に至るまで悉(ことごと)く巴里(パリー)街頭の家具店に見られるような現代式のけばけばしい製造品に取替えられている有様...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...庄次は血を吸ひに集つて來る蚊を避けて古びた蚊帳の中にぽつねんとして居ました...
長塚節 「白瓜と青瓜」
...やがて古びた楊弓を一張持つて來ました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...しかも下駄を買うのをわすれて古びた日和下駄(ひよりげた)をはいていったと――井坂さんは類(たぐい)まれな世話やきの親切ものだった...
長谷川時雨 「古屋島七兵衛」
...この古びた酒荷船は...
林芙美子 「新版 放浪記」
...東京の名所を知らないお方――を歌うと三代広重の開化三十六景が古びたおるごうるとともに展開され...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...そして早くもその燃(も)え立った白金のそら、湖(みずうみ)の向うの鶯(うぐいす)いろの原のはてから熔(と)けたようなもの、なまめかしいもの、古びた黄金、反射炉(はんしゃろ)の中の朱(しゅ)、一きれの光るものが現(あら)われました...
宮沢賢治 「インドラの網」
...古びた門にかぶさるようにアカシヤの大木が枝をのばしている...
「朝の風」
...その家の古びた客間へスカンジナヴィア文学の翻訳家である宮原晃一郎さんが訪ねて来られた...
宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
...古びた青銅鍋(からかねなべ)だの粗製(そせい)の琺瑯鍋(ほうろうなべ)だのあるいは銅(あかがね)の鍋だの真鍮鍋(しんちゅうなべ)なんぞを使っていますが西洋は大概国法を以てあんな鍋の使用を厳禁しています...
村井弦斎 「食道楽」
...後に壽阿彌が縫ひ附けた白羽二重の古びたのと...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
...3780古びた本を繰り開(あ)けて...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...そうして古びたネル一枚の見すぼらしい寝巻姿に包まれた瘠せ枯れている玲子の手足を見まわすと...
夢野久作 「継子」
...ここはお誂(あつ)らえにできている」と古びた喜連格子(きつれごうし)を見廻しています...
吉川英治 「江戸三国志」
...この寂び古びた壜や箱の藥品が私には常に氣になつた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...動きやまぬ霧はその古びた軒にも流れていて...
若山牧水 「青年僧と叡山の老爺」
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