...古びた肩掛に顔を隠しながら...
芥川龍之介 「奇怪な再会」
...而して不圖思ひ出した樣に立上つて隣の室の書棚から古びた一册の書物を持つて來た...
有島武郎 「半日」
...」木地の古びたのが黒檀(こくたん)に見える...
泉鏡花 「唄立山心中一曲」
...四五ヶ月もすぎた舶来の古びたバターを国産品よりも高価に購求していて「舶来品は香気が高い」などと感心している...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...この静かな石段を上って古びた庫裏(くり)と本堂一帯の裏山を掩った真暗な森に沿いながら...
橘外男 「逗子物語」
...その適度に古びた白さが...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...中条(なかのでう)の町はこの暑い平凡な空気の中に古びた板葺茅葺の屋根を見せて居た...
田山録弥 「草津から伊香保まで」
...古びた、雨うたしになった、微(かす)かに、宝沢同行二人(ににん)と読める、所々裂け目のついた菅笠であった...
直木三十五 「大岡越前の独立」
...「本川饅頭(まんじゅう)」という古びた看板があるのを見つけた...
原民喜 「壊滅の序曲」
...――老人はいつか彼の前に古びた聖書を開いていた...
堀辰雄 「恢復期」
...古びたそこの奥座敷にはいって行った...
本庄陸男 「石狩川」
...古びた信玄袋を振って...
宮本百合子 「秋の反射」
...古びた青銅鍋(からかねなべ)だの粗製(そせい)の琺瑯鍋(ほうろうなべ)だのあるいは銅(あかがね)の鍋だの真鍮鍋(しんちゅうなべ)なんぞを使っていますが西洋は大概国法を以てあんな鍋の使用を厳禁しています...
村井弦斎 「食道楽」
...背中の寒暖計に泪がたまる影もないドアをすぎて古びた時間はまだ叩いてゐるあれは樹液の言葉でもない背中の川を声だけで帰つてゆくものたち...
森川義信 「雨の出発」
...古びた印半纏(しるしばんてん)の下にパンツをはいているだけで...
山本周五郎 「青べか物語」
...古びためくら縞の...
山本周五郎 「風流太平記」
...そして網の周旋を頼むためにこんもりと樹木の茂つた神社の下の古びた邸にM――氏を訪ねて行つた...
若山牧水 「樹木とその葉」
...三人とも古びた半纒(はんてん)を引つかけたまゝで下はから脛の...
若山牧水 「樹木とその葉」
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