...お敏が湯に行くのを口実に...
芥川龍之介 「妖婆」
...彼女は故郷の幼い弟に頼まれた飛行機の模型を買うのを口実に...
伊藤野枝 「わがまま」
...ロイヤル・オーク号事件にて少々健康を痛めたのを口実に...
海野十三 「沈没男」
...つまりは無銭宿泊の口実に...
江見水蔭 「備前天一坊」
...この結婚に不賛成だった藤原家の人々は私の落度を見つけてそれを口実に夫との間を割き...
大倉※[#「火+華」、第3水準1-87-62]子 「魂の喘ぎ」
...さしたる病でもないのに母の病気を口実にいかぬということは...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...しかしさう云ふ体質の相違がよい口実に使はれて...
谷崎潤一郎 「猫と庄造と二人のをんな」
...宣言及綱領には賛成なれども研究会の会則は会員をして他の団体に加はるを禁ぜりとの口実に依りて入会を拒絶し...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...それを口実に、戦うのだ...
直木三十五 「南国太平記」
...無断で組を抜けたことを口実にして...
久生十蘭 「あなたも私も」
...そんな遠慮ばかりしていて一体おれはどうなる? おれはこんどの病気を口実に...
堀辰雄 「菜穂子」
...しかもそれはそんな私の散歩の唯一の口実にさえなっていた...
堀辰雄 「三つの挿話」
...何んと! その口実に私はこの娘はどうも自分の好きなタイプじゃないなどと唐突に考え出していた...
堀辰雄 「三つの挿話」
...温室の花を見る口実に連れ出して...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...それを口実にして東京へ行かれるから――などゝ百合子は云つた...
牧野信一 「女優」
...雪之丞は、もとより廓内に足ぶみを、公けに出来ぬ役者の身、それを口実に、いい頃合いを見はからって、姿を消したのだった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...これに伴う苦痛のせいだ」「死がこわいのではなくて苦痛がいやなのだ」という弁解は嘘であり口実にすぎぬ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...いいかげんな口実に...
吉川英治 「私本太平記」
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