...」焼を念入に注意したが、もう出来たろうと、そこで運出(はこびだ)した一枚は、胸を引いて吃驚するほどな大皿に、添えものが堆(うずたか)く、鳥の片股(かたもも)、譬喩(たとえ)はさもしいが、それ、支配人が指を三本の焼芋を一束(ひとつか)ねにしたのに、ズキリと脚がついた処は、大江山の精進日の尾頭ほどある、ピカピカと小刀(ナイフ)、肉叉(フォーク)、これが見事に光るので、呆れて見ていると、あがりにくくば、取分けて、で、折返して小さめの、皿に、小形小刀の、肉叉がまたきらりと光る...
泉鏡花 「薄紅梅」
...肉(チキン)を切って皿へ取分けてやる...
泉鏡花 「婦系図」
...そういう時は自分の膝元へ引寄せてお椀(わん)の蓋(ふた)なり小皿(こざら)なりに肴を取分けて陪食させた...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...取分け紳士の振舞をするものである...
薄田泣菫 「茶話」
...取分け或民族に徳性ありや否やと云ふ問題を考察するに當つては...
橘樸 「支那を識るの途」
...取分け自動車と船とが苦手であったこと...
谷崎潤一郎 「細雪」
...わけても最近の『文芸倶楽部(ぶんげいクラブ)』(大正四年十一月号)に出でし江見水蔭(えみすいいん)が『水さび』と題せし一篇の如き我身には取分けて興(きょう)深し...
永井荷風 「矢はずぐさ」
...取分(とりわ)けては甚樣(じんさま)のこと...
樋口一葉 「曉月夜」
......
一葉稿 「五月雨」
...蚊いぶし火鉢に火を取分けて三尺の椽に持出し...
樋口一葉 「にごりえ」
...蚊いぶし火鉢に火を取分けて三尺の椽に持出(もちいだ)し...
樋口一葉 「にごりえ」
...取分けてお勢が母親に孝順(やさしく)する...
二葉亭四迷 「浮雲」
...取分けて若い男という者はこうこういう性質のもので有るから...
二葉亭四迷 「浮雲」
...といううちにも取分けてお政は不機嫌(ふきげん)な体(てい)で...
二葉亭四迷 「浮雲」
...昇に狎(な)れ親んでから、お勢は故(もと)の吾を亡(な)くした、が、それには自分も心附くまい※お勢は昇を愛しているようで、実は愛してはいず、只昇に限らず、総て男子に、取分けて、若い、美しい男子に慕われるのが何(なに)となく快いので有ろうが、それにもまた自分は心附いていまい...
二葉亭四迷 「浮雲」
...いや螢の光ること飛んで來ること! 其の晩は取分け螢の出やうが多かツたやうに思はれた...
三島霜川 「水郷」
...刺繍(ぬいとり)をする事が取分けてお上手だったそうで...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...勝家の取分も減らして...
吉川英治 「新書太閤記」
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