...渠(かれ)は去年の秋...
泉鏡花 「瓜の涙」
...この石碑はもと仲麿の出生地だと言ひ伝へてゐる大和の安倍村にあつたのを去年の秋何(ど)うした訳か...
薄田泣菫 「茶話」
...去年の秋麦僊氏が若い同士達と一緒に...
薄田泣菫 「茶話」
...彼の観音はめぐりめぐって去年の秋のこと...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...去年の秋だったかしら...
太宰治 「葉」
...去年の秋に来たときは...
太宰治 「八十八夜」
...去年の秋の頃は、あまりに家をあけるので、煩悩(ぼんのう)も消え失せ、既に離籍(りせき)しようかとした程であった...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...去年の秋三番目の女の清子(きよこ)が嫁に行くまで此の八畳の茶の間は時折さわがしいほど賑であった...
永井荷風 「春雨の夜」
...このあっしも去年の秋...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...去年の秋死んでしまつた...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...去年の秋下総を出てから今まで...
長谷川伸 「沓掛時次郎 三幕十場」
...あれは丁度去年の秋...
浜尾四郎 「正義」
...もんが會社をやめて上海へ旅立つて行つたのは去年の秋であつた...
林芙美子 「秋果」
...去年の秋の半ば頃だった...
堀辰雄 「ほととぎす」
...……二去年の秋のはじめ...
堀辰雄 「炉辺」
...八重洲通りに去年の秋頃から失業者のための夜店が並び出た...
牧野信一 「日本橋」
...心祝のわけで私が去年の秋富ちゃんのゴタゴタのとき送って上げた旅費20かえして下さいました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...「しばらく、お待ちを……」と、巌流は、なお他念なく、「掌(て)の上の餌だけ、喰べさせてしまいますから」「御拝領の鷹じゃの」「されば、去年の秋、お鷹野のみぎりに、お手ずから戴きました天弓(あまゆみ)と名づくる鷹で、馴れるにつれ、可愛いものでなあ」掌に残された餌を捨て、朱房の紐(ひも)を手繰(たぐ)りかえして、「辰之助(たつのすけ)、鷹小屋へ入れておけ」と、うしろにいる年少の門人を顧みて、拳から拳へ、鷹を渡した...
吉川英治 「宮本武蔵」
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