...去年の秋あなたが私の部屋へ...
芥川龍之介 「奇遇」
...去年の秋、渠が初めて此釧路に來たのは、恰度竹の浦丸といふ汽船が、怎(どう)した錯誤(あやまり)からか港内に碇泊した儘沈沒した時で、二本の檣だけが波の上に現はれて居た...
石川啄木 「病院の窓」
...去年の秋は桔梗(ききょう)の花が不思議なほど一ぱい咲いていた...
太宰治 「八十八夜」
...去年の秋は神田の花屋で...
寺田寅彦 「球根」
...去年の秋の嵐に半ば崩されて...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...去年の秋のある日...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...それを御腰物方に納めたのは去年の秋です...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...このあっしも去年の秋...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...去年の秋からモリモリ人氣が出て...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その時――と言つても去年の秋で」「フーム」平次は口を挾まずに後を促(うなが)しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...心づくしの柿の葉鮨を、眼を伏せながら口へ運んでいると、去年の秋、見て来た滕県城の煤色(ビチューム)の重々しい城壁のすがたがありありと瞼の裏に浮んで来た...
久生十蘭 「生霊」
...去年の秋まではそれでも牛が二三匹柵のなかでおとなしく草を食べてゐたのに...
堀辰雄 「牧歌」
...げにこの曲淵には去年の秋この村に嫁ぎたる阿豊(おとよ)と言える女房...
宮崎湖処子 「空屋」
...去年の秋、僕が蕎麦団子(そばだんご)を食べて、チブスになって、ひどいわずらいをしたときに、あれほど親身の介抱(かいほう)を受けながら、その恩を何でわすれてしまうもんかね...
宮沢賢治 「蛙のゴム靴」
...製本して貰う女のひとなども去年の秋ごろからの知人...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...去年の秋から今日までの私たちの経験でも一見下らなそうな家事のことも本気にかけばやはり自分でしたいの...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...尋ねると去年の秋から順繰りに三人の子供が死んだ家があるんだそうです...
室生犀星 「童子」
...待望の日一安土(あづち)の秋は、去年の秋とは、まったく景観を一変していた...
吉川英治 「黒田如水」
便利!手書き漢字入力検索