...此處に抄出する部分は去年の春の日記の最も抽象的な一部分である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...去年の春首尾克(よ)く卒業したのである...
石川啄木 「鳥影」
...――去年の春ですよ...
近松秋江 「雪の日」
...去年の春から油畫の稽古を始めた...
寺田寅彦 「寫生紀行」
...八重次とは去年の春頃より情交全く打絶え...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...去年の春の頃から白城の刎橋の上に...
夏目漱石 「幻影の盾」
...去年の春田舎(いなか)から呼寄せました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――お蘭さんとは二三年前からの知合ですが、去年の春、池の端の素人芝居から急に懇意(こんい)になつて、兩親に承知させた上、仲人を頼んで申入れました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「去年の春からおりますよ」「たいそう繁昌するようだな」「それ程でもありませんが」「伊豆屋の若旦那はチョイチョイ来たようだな」「去年の秋から...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ニュウ・メキシコの鉱山で働いていらしたのだそうですね」「古い話です」「去年の春ごろ...
久生十蘭 「あなたも私も」
...去年の春、娘が死んだと云って赤瀬が満洲に行く時、僅(わず)かながら、心ばかりの香典(こうでん)を包んでことづけたことがあった...
火野葦平 「糞尿譚」
...去年の春、我が慶応義塾を開きしに、有志の輩(はい)、四方より集り、数月を出でずして、塾舎百余人の定員すでに満ちて、今年初夏のころよりは、通いに来学せんとする人までも、講堂の狭きゆえをもって断りおれり...
福沢諭吉 「慶応義塾新議」
...その四去年の春、呉竹を植えたいと思って人に頼んでおいたら、それから一年も立ったこの二月のはじめになって漸(や)っと「さし上げますから」と言ってきた...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...英一といふのは去年の春生れた私の長男である...
牧野信一 「地球儀」
...私は、書籍は去年の春、止むない事情で、悉く売却してしまひ、手許に残つたのは同型の三冊のノートブツクだけだつた、夫々厚さは三センチ程であるが、紙が厚いので頁は三百位有るか何うか、無罫紙にして田舎の製本屋で造つて貰つた、Aの表紙には、ゼリアンが牛車を曳く苦悶の姿を描き、裏にはジゴンの饗宴の場を描いた、そして背に金文字で「嘆きの谷で拾つた懐疑の花弁」と活字を容れた...
牧野信一 「真夏の夜の夢」
...いへば去年の春は何処の宿で送つたかもうろ覚えであるかのやうな慌しさで...
牧野信一 「山の見える窓にて」
...町の呉服屋の世話で信州の生れだと云う彼の来たのは去年の春であった...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
......
三好達治 「山果集」
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