...去年の春のことだ...
石川欣一 「山を思う」
...去年の春ごろからおわずらいになって此の程じゅうは食事を絶やしていらしったのが...
谷崎潤一郎 「三人法師」
...誰しも一往佐助に疑いを持って行くところであるけれども親たちにしても去年の春琴の言葉があるのでよもやと思ったのであるそれにそう云う関係があればなかなか人前を隠し切れぬもの...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...――去年の春ですよ...
近松秋江 「雪の日」
...去年の春から悪くなって...
寺田寅彦 「亮の追憶」
...地(じ)は去年の春京都の織屋が背負(しょ)って来た時...
夏目漱石 「行人」
...役場の知らせもあつてな」「何時の事です?」「去年の春だよ」「戰死した事になつてゐるンですか?」昏い山々はひしめきあつて風を呼びあふかのやうに...
林芙美子 「雨」
...天涯孤獨で、去年の春、たつた一人の老父もうしなひ、叔父が一人ゐるはずだつたけれども、早苗が小さい時にアメリカに行つてしまひ、長い間音信がないのである...
林芙美子 「風媒」
...去年の春、我が慶応義塾を開きしに、有志の輩(はい)、四方より集り、数月を出でずして、塾舎百余人の定員すでに満ちて、今年初夏のころよりは、通いに来学せんとする人までも、講堂の狭きゆえをもって断りおれり...
福沢諭吉 「慶応義塾新議」
...去年の春私立大学の建築科を卒業してから...
堀辰雄 「菜穂子」
...去年の春、結婚したと云つて寄こした...
牧野信一 「鸚鵡の思ひ出」
...いへば去年の春は何処の宿で送つたかもうろ覚えであるかのやうな慌しさで...
牧野信一 「山の見える窓にて」
...○去年の春であったか...
正岡子規 「病牀苦語」
...こちらの家は去年の春だったか...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...「もう云ってもいいじゃあねえか」「あのときは済まなかった」とさぶは口の中で呟いた、「栄ちゃんに心配させて済まなかったと思う、――それでおら、思うんだが」「それはよせよ」栄二が遮(さえぎ)った、「おめえが思うと云うといつもあと戻りをするばかりだ、肝心なことを話してくれ」「うん」と頷いて、さぶは酒を啜ってから云った、「あの日、おみつちゃんが来たんだ」二の二おみつというのは芳古堂の娘で、としは今年十九歳、去年の春、日本橋檜物町(ひものちょう)の「さわ村」という櫛(くし)屋へ嫁にいった...
山本周五郎 「さぶ」
...去年の春あたりもう耳にはいってた...
山本周五郎 「柳橋物語」
...「なんの、吉岡伝七郎の如き、すでに去年の春、拙者が真二つに斬っている! きょう再び斬れば、おん身を斬ることこれで二度目だ!」「なにっ! いつ、どこで」「大和の国柳生の庄」「大和の」「綿屋という旅籠(はたご)の風呂の中で」「や、あの時?」「どっちも、身に寸鉄も帯びていない風呂の中であったが、眼をもって、この男、斬れるかどうかを自分は心のうちで計っていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...去年の春の末だったかなあ...
吉川英治 「山浦清麿」
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