...去年の冬、僕は丁度よく暖まつてゐるストオヴの上でそれをならべたんです...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...去年の冬の或る夜...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...去年の冬あたりから来てるんぢやないかな……」「へえ……そんな女がゐるの? それは私ちつとも知らなかつた――...
田山録弥 「アンナ、パブロオナ」
...平公は去年の冬の初めの歸國を思ひ起した...
田山花袋 「歸國」
...去年の冬から住むことになったその家は...
徳田秋声 「爛」
...去年の冬とにかく一段落ついた形になつてゐたが...
徳田秋声 「花が咲く」
...あんまり面白いところでもあるまいが――」「私は去年の冬から身體を惡くして...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...去年の冬生れた赤ん坊とをかかえて...
林芙美子 「婚期」
...去年の冬、十二月もおしつまった三十日の夜、光明寺の裏山へ門松にする姫小松を盗みに行った小坪の漁師の子供が、道に迷って谷へ落ちて死んだ...
久生十蘭 「春の山」
...こんどのは去年の冬...
堀辰雄 「七つの手紙」
...「雉子日記」などを殘したきりで、去年の冬ぢゆう、雪の林のなかなどにそんなレクヰエムを求めながら一人でさまよつてゐた頃の、いま思ふと自分の痛々しいやうな姿が、この冬のこんな山暮らしをしてゐる自分の裡にそつくりそのまま蘇つてきて、其處においてはじめてその形體を得た、とまあ言へないこともないでせう...
堀辰雄 「七つの手紙」
...その花のあるじの母は去年の冬亡くなりました...
堀辰雄 「行く春の記」
...雨の少なかつた去年の冬から此年の春にかけては...
正宗白鳥 「水不足」
...去年の冬にある人から童女として奉公させた子であるが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...亭主は網舟の船頭であったが、去年の冬、十九になる息子の平吉といっしょに沖へ出て、突風に遭って二人とも死んでしまった...
山本周五郎 「追いついた夢」
...――それが去年の冬のかかりに...
山本周五郎 「おばな沢」
...去年の冬だっけが...
夢野久作 「難船小僧」
...すべて去年の冬いらい...
吉川英治 「私本太平記」
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