...惡は我等の素質の奧に深くその根を卸して容易に刈除することが出來ない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...肩揚げも卸(おろ)したり...
徳田秋声 「黴」
...その頃その木蔭(こかげ)なる土手下の路傍(みちばた)に井戸があって夏冬ともに甘酒(あまざけ)大福餅(だいふくもち)稲荷鮓(いなりずし)飴湯(あめゆ)なんぞ売るものがめいめい荷を卸(おろ)して往来(ゆきき)の人の休むのを待っていた...
永井荷風 「日和下駄」
...頬のこけた禿頭(はげあたま)の貧相な男が汚れた縞(しま)の風呂敷包を店先に並べた古本の上へ卸しながら...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...与八は郁太郎を卸(おろ)して膝にかかえ...
中里介山 「大菩薩峠」
...「どうなるものか」神尾が荒っぽく一石を打ち卸して...
中里介山 「大菩薩峠」
...指で丸をこしらえられてコキ卸されては...
中里介山 「大菩薩峠」
...余は晩餐前に公園を散歩するたびに川縁(かわべり)の椅子(いす)に腰を卸して向側を眺(なが)める...
夏目漱石 「カーライル博物館」
...錨(いかり)を卸した...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...それらの印刷物は万年町の元締から「卸(おろ)し」にされて...
室生犀星 「幻影の都市」
...想ふに早く二月中旬の某日に行李を卸して...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...十ばかりも卸してしまえば...
森鴎外 「鼠坂」
...窓を締めて窓掛を卸すことを...
アンリ・ド・レニエエ Henri de Regnier 森林太郎訳 「復讐」
...この日はいよいよその骨を卸(おろ)して食べてしまうからの名と解せられている...
柳田国男 「年中行事覚書」
...洗い髪同様の髪を玄冶店(げんやだな)のお富(とみ)式にうしろに投げ卸して...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...又もペタリと腰を卸(おろ)したのであった...
夢野久作 「笑う唖女」
...自然薯(やまのいも)も磨(す)り卸(おろ)してあった...
吉川英治 「上杉謙信」
...町屋は早く大戸を卸(おろ)し...
吉川英治 「新書太閤記」
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