...固より我等が現實的自我である限り――我等の普遍的自我が「己れ」の繋縛を脱却し得ない限り...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...葉子は忘却(ぼうきゃく)の廃址(はいし)の中から...
有島武郎 「或る女」
...そう云う点では時平の方が却(かえ)って政治的実行力に富んでいたかも知れない...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...それは今研究すべき題目でないとして却(しりぞ)けられ...
田山花袋 「蒲団」
...何という事だろう!退却する負傷兵の泣き声であった...
徳永直 「戦争雑記」
...却って吾々の存在そのものが初めてその周囲に世界を有つのであった...
戸坂潤 「科学方法論」
...之に対して却ってモダーニズムを擁護せずにはいられない...
戸坂潤 「思想としての文学」
...山籠の暮しは却々(なか/\)つらい...
レオ・トルストイ Lev Nikolaevich Tolstoi 森林太郎訳 「パアテル・セルギウス」
...窓に対する壁は漆喰(しっくい)も塗らぬ丸裸(まるはだか)の石で隣りの室とは世界滅却(せかいめっきゃく)の日に至るまで動かぬ仕切(しき)りが設けられている...
夏目漱石 「倫敦塔」
...「カリフォルニアの獲得はシナとの通商交通にとって閑却すべからざる利便を与えた...
服部之総 「汽船が太平洋を横断するまで」
...却(かえっ)て互に相(あい)軋轢(あつれき)するの憂(うれい)なきを期すべからず...
福沢諭吉 「旧藩情」
...未知の方々から却って非常なる同情を寄せられたことです...
牧野富太郎 「植物記」
...却てかの三世代の法則を立てねばならなかつたといふのも...
三木清 「歴史哲學」
...毎々他国へ売却されて他国の用を做(な)したと見える...
南方熊楠 「十二支考」
...却(かへ)りて小説家の筆の美ならざるを責むるを笑へり...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...退却をはじめたのは彼等であつた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...却って俗生の人に飼われて...
吉川英治 「宮本武蔵」
...すべからくこれを滅却すべきである...
米川正夫 「クロイツェル・ソナタ」
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