...却つて益々あいつを置いとくことが出來なくなるのだ...
ヘンリック・イブセン Henrik Ibsen 島村抱月譯 「人形の家」
...その響(ひびき)は却々(なかなか)尋常で無(なか)った...
関根黙庵 「枯尾花」
...この譬喩的直観像がもはやその譬喩的意味を脱却して...
戸坂潤 「辞典」
...却って不埒にも排日排満の形を取って表面に現われたものだったのである...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...処が日本ラジオ放送に於ける時事解説なるものは、実は却って、政治的言論から殆んど全く離れて了っているということをその大切な特色としているのである...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...それは外部からよりも却って内部からなのであった...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...以て政局をして再び旧世界に退却せしめたり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...今日も灸師を招ぎ治療をなせしにそのため却て頭痛を催し...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...寅雄と清子とは日頃仲がよかったので却てよく喧嘩をした...
永井荷風 「春雨の夜」
...熱帯の白昼、却つて妖気あり...
中島敦 「環礁」
...何時の間にか退却し...
中原中也 「新短歌に就いて」
...もし生死の関門を打破して二者を眼中に措(お)かぬ人生観が成立し得るとすると今の所謂(いわゆる)第一義は却(かえ)って第二義に堕在するかも知れぬ...
「高浜虚子著『鶏頭』序」
...永くいたら迷いが却って深くなる...
長谷川伸 「中山七里 二幕五場」
...希くば秘宝を売却せらるる如きことなきよう切に懇願す」……もう一通は妃殿下の御発信でありまして……「当方大変な騒ぎですから至急御帰国下さい...
久生十蘭 「魔都」
...ジョージ卿はすべてを売却して...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「本命馬」
...即ちアウグスティヌスは云つてゐる、「いまや次のことが明白であり、明瞭である、未來も過去もあるのでなく、また三つの時、過去、現在及び未來、があると本來云はるべきでなく、却て恐らく本來、三つの時、即ち過去せるものの現在 praesens de praeteritis、現在するものの現在 praesens de praesentibus、未來なるものの現在 praesens de futuris があると云はるべきであらう***...
三木清 「歴史哲學」
...不傑作は非沒却理想なりとのこゝろなるべし...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...老(おい)も却てわが明日(あす)の糧(かて)とならん...
與謝野寛 「妄動」
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