...却つて一段秋霜烈日の嚴を加へた筈のナポレオン・ボナパルトは...
石川啄木 「雲は天才である」
...又(また)鎔岩(ようがん)が次第(しだい)に冷却(れいきやく)して來(く)るとどんな成分(せいぶん)のものも流動(りゆうどう)し難(がた)くなり...
今村明恒 「火山の話」
...却て心の底に喜びしも戀てふ惡魔のなせる業(わざ)...
高山樗牛 「瀧口入道」
...総べてのものを詩化してしまう我等の祖先は、住宅中で何処よりも不潔であるべき場所を、却って、雅致のある場所に変え、花鳥風月と結び付けて、なつかしい連想の中へ包むようにした...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...却(かえ)って安心していたのだ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...暑さは却て眞夏よりも烈しく...
永井荷風 「蟲の聲」
...尠くとも一般からは却て短歌より発展して出来たものとされてゐる新短歌が却てその精神(エスプリ)に於て俳句に近いといふことを注意してみたかつたまでである...
中原中也 「新短歌に就いて」
...却(かえ)って島国的に逆転された...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...それが何だか却つて幸福のやうな気がしてゐる...
牧野信一 「熱い風」
...却て我々の述べた如き辯證法の基礎の上に於てのみ目的論は成立するのである...
三木清 「歴史哲學」
...却つてそれが事實との關係を含むことによつて存在的から區別される...
三木清 「歴史哲學」
...眺めて感じる親しい未熟さ(技術上の)が何だか却って私を自分の仕事に努力させるような面白さがあります...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...われは逍遙子が既に指し示したる沒却理想を唯一面相なりとして評論することを得べし...
森鴎外 「柵草紙の山房論文」
...事によつたら却つてそれが本当だかも知れません...
クスミン Mikhail Alekseevich Kuzmin 森林太郎訳 「フロルスと賊と」
...却(かえ)ってよかったと思っています...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...折角の思召(おぼしめ)しを辞するは却って失礼...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...単調であるために却(かえ)って安らかな物音...
山本周五郎 「おれの女房」
...却ってこう言い言いしたものだった...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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