...却(かえ)って他の性質と結びついて現れることのあるのが...
石原純 「グレゴール・メンデル」
...「そりやあもう……お前が信用する女なら……己は別に……」と文太郎の方が却つて狼狽した...
高濱虚子 「續俳諧師」
...却つてその草原へとそのあとを追つて行つた...
田山花袋 「道綱の母」
...却って反ファシズムの広範な包括線を意味する処の...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...半面却って思い切った抽象なのだ...
戸坂潤 「最近日本の科学論」
...以て政局をして再び舊世界に退却せしめたり...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...彼の長所を没却して...
中里介山 「大菩薩峠」
...代助には其澄(すま)した様子が却つて滑稽に思はれた...
夏目漱石 「それから」
...完全に忘却したが一般的に存在していたと想定される...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...被告の控訴は理由がないから棄却せられたしと云ふ丈のものであつた...
平出修 「公判」
...一四――あいつ、あの白い顔の奴、男だ!と、突嗟(とっさ)に悟って、匕首に手を掛けてお初、――なあに、男だって、化け物だって、怖いものか!近づいて、切ッ払って、亡(ふ)ける覚悟し――いたずらに騒いでは、却(かえ)って、此の場合、逃げ場を失うのは、知れ切っている...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...表現するとは却って形成することであり...
三木清 「哲学入門」
...却って軽蔑を押えられない木部の俤を伝えている定子に対する自身の女として堪え難い苦しい感情...
宮本百合子 「「或る女」についてのノート」
...落された部分が却っていつも気になるのが自分の経験でわかっているのに...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...今までこの方面の研究が閑却されているが...
柳田国男 「故郷七十年」
...却って客が少なくてようございました...
山本周五郎 「日本婦道記」
...寒(かん)の内よりも却(かえ)って凛烈(りんれつ)である...
山本周五郎 「風流太平記」
...あとからあとから無限の感じの中へ忘却して行ったのだから……...
夢野久作 「戦場」
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