...三日、癸卯、晴、鶴岳宮の御神楽例の如し、将軍家御疱瘡に依りて御出無し、前大膳大夫広元朝臣御使として神拝す、又御台所御参宮...
太宰治 「右大臣実朝」
...お袋が畑で仕事をして居れば笠の中へ入れて畑境の卯つ木のもとへ捨てゝおく...
長塚節 「芋掘り」
...さうすると菓子(くわし)を持(も)つた手(て)が更(さら)に卯平(うへい)の左(ひだり)の袂(たもと)から出(で)る...
長塚節 「土」
...何遍(なんべん)も云(ゆ)つたんだわ」卯平(うへい)は又(また)煙管(きせる)を噛(か)んで手(て)が少(すこ)し顫(ふる)へた...
長塚節 「土」
...勘次(かんじ)は冷(つめ)たい手(て)を火(ひ)にも翳(かざ)さないで殊更(ことさら)に遠(とほ)く卯平(うへい)の側(そば)を離(はな)れて蹙(しか)めた酷(ひど)い顏(かほ)に恐怖(きようふ)の相(さう)を表(あら)はして唯(たゞ)凝然(ぢつ)と默(だま)つて居(ゐ)た...
長塚節 「土」
...庭(には)の騷(さわ)ぎは止(や)んで疾風(しつぷう)の襲(おそ)うた如(ごと)く寮(れう)の内(うち)は復(また)雜然(ざつぜん)として卯平(うへい)を圍(かこ)んだ沈鬱(ちんうつ)な空氣(くうき)を攪亂(かくらん)した...
長塚節 「土」
...「どうえの建(た)てゝえ」卯平(うへい)は有繋(さすが)に聞(き)きたかつた...
長塚節 「土」
...白羽二重に紅を包んだような、滑らかな美しい肌に、彫りも彫ったり、頸筋(くびすじ)に鼠(ねずみ)、左右の腕に牛と虎、背に龍と蛇、腹に兎と馬――上半身に十二支の内、子(ね)、丑(うし)、寅(とら)、卯(う)、辰(たつ)、巳(み)、午(うま)、の七つまで、墨と朱の二色で、いとも鮮やかに彫ってあるのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――この卯八ですよ」「何?」「三吉を川へ抛(ほう)り込んだのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――この卯(う)八ですよ」「何?」「三吉を川へ抛(はふ)り込んだのは...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...山里は卯(う)の花垣のひまをあらみしのび音(ね)もらす時鳥(ほととぎす)かなこの歌尋常めきたれどもわれらは厭味を感じ候...
正岡子規 「人々に答ふ」
...「五日卯時発す...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...その二百五十わたくしは此年天保癸卯に関藤藤陰が解褐(かいかつ)したことを記して...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...次には卯(う)の年だから兎(うさぎ)の何々という類の草の名を問題にする...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...「嘘じゃねえよ」と、卯平は、その溝川のすぐ向う際まで歩いて来て、「俺も、吃驚(びっくり)したさ...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...永禄八年卯月(うげつ)の月日をも追記した...
吉川英治 「剣の四君子」
...卯木(うつぎ)も見えた...
吉川英治 「私本太平記」
...そのため私は、藤夜叉、卯木、草心尼、正成の妻、高氏の妻、後醍醐をめぐる三人の妃などへも、創意をほしいままにしているが、それがまた読者のお叱りとなって刎(は)ね返ってきたりもする...
吉川英治 「随筆 私本太平記」
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