...それとは全く違つた心持が卒然として起つて來る...
石川啄木 「硝子窓」
...卒然として私は自分自身の卑怯(ひきょう)に烈しい反感を感じた...
石川啄木 「弓町より」
...あたかも重病人が卒然として仇敵のその前に立つに会し...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...彼は卒然として思い当った...
梅崎春生 「狂い凧」
...卒然として之に對すれば相當大きい堆積であり數人の力では一通り眼を通すさへ困難な位であるが...
橘樸 「支那を識るの途」
...卒然として骨牌や話相手に興味を失い...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...殊に文中卒然としてでてくる「本木昌造樣へも御遣し被下度...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...卒然として神秘的なテーゼを持ち出して来る...
戸坂潤 「思想としての文学」
...その問題は「卒然として答えるにはあまりに多岐多端なことであるから...
中谷宇吉郎 「露伴先生と科学」
...卒然として未来におけるわが運命を自覚した時の涙は発作的(ほっさてき)に来る...
夏目漱石 「虞美人草」
...此一刻(いつこく)の幸(ブリス)から生ずる永久の苦痛が其時卒然として...
夏目漱石 「それから」
...すると、平岡は急に様子を変えて、落ち付かない眼を代助の上に注いだが、卒然として、「そりゃ、僕も疾(と)うから、どうかする積りなんだけれども、今の所じゃ仕方がない...
夏目漱石 「それから」
...この両人(ふたり)が卒然と交(まじわり)を訂(てい)してから...
夏目漱石 「野分」
...その時彼の心を卒然として襲って来たものがあった...
夏目漱石 「明暗」
...平次は卒然として往来に立ち停ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...怪しげな幽光に包まれながら卒然と浮かび上って来たのは...
久生十蘭 「魔都」
...卒然と立ってその部屋を出た...
山本周五郎 「日本婦道記」
...彼は、卒然と、寝醒めのうつつに、坂東平野の牧の馬小舎を思い出した...
吉川英治 「平の将門」
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