...卒然と後(うしろ)をふり返った...
芥川龍之介 「沼地」
...それとは全く違つた心持が卒然として起つて來る...
石川啄木 「硝子窓」
...卒然として私は自分自身の卑怯(ひきょう)に烈しい反感を感じた...
石川啄木 「弓町より」
...あたかも重病人が卒然として仇敵のその前に立つに会し...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...彼は卒然として思い当った...
梅崎春生 「狂い凧」
...辻褄の合わぬ奇妙な一枚の絵を描き残したまま卒然として怪しげな変死を遂げてしまったのは...
大阪圭吉 「闖入者」
...淋しい大きな空の翼はから鳴りを發し忽ち日を蔽ふやうに暗くなり卒然として舞ひ下り深淵はそこに開け...
千家元麿 「自分は見た」
...その問題は「卒然として答えるにはあまりに多岐多端なことであるから...
中谷宇吉郎 「露伴先生と科学」
...そうして余の頭の上にしかく卒然と閃(きら)めいた生死二面の対照の...
夏目漱石 「思い出す事など」
...女は卒然と蝶から眼を余の方(かた)に転じた...
夏目漱石 「草枕」
...あるものは人間交渉の際卒然として起る際(きわ)どき真味がなければ文学でないと云う...
夏目漱石 「作物の批評」
...そうしてまた卒然として現実に帰るべく彼らから余儀なくされた...
夏目漱石 「道草」
...卒然と後を追うのをやめてしまったのも...
久生十蘭 「泡沫の記」
...やはり卒然として同様の事件は発生したであろう...
柳田国男 「雪国の春」
...孫次郎の顔に卒然として力が溢れた...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...だが徐々に、官能の弁が閉じられて、つねのわが身に返るかと意識された途中で、彼女は卒然と、すすり泣きをゆり起した...
吉川英治 「私本太平記」
...あの煙の立ちようでは、すでに勝入父子は風のごとく、岐阜へひき揚げおッたに相違ない」家康は、卒然と、馬をめぐらした...
吉川英治 「新書太閤記」
...だが――武蔵はまた卒然と...
吉川英治 「宮本武蔵」
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