...卒然としてこの文学勃興の機運に際会したは全く何かの因縁であったろう...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...あたかも重病人が卒然として仇敵のその前に立つに会し...
内村鑑三 「ヨブ記講演」
...卒然としてその奥義を察知するにいたり...
太宰治 「不審庵」
...殊に文中卒然としてでてくる「本木昌造樣へも御遣し被下度...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...卒然として機関説排撃運動へと戦線統一を企てることが出来るようになった...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...卒然として神秘的なテーゼを持ち出して来る...
戸坂潤 「思想としての文学」
...決して卒然として思いつかれたものや何かではない...
戸坂潤 「辞典」
...雜誌の寄稿者たる佐治君に對して消滅しつゝあつた疑問が卒然として復起した...
長塚節 「教師」
...此一刻(いつこく)の幸(ブリス)から生ずる永久の苦痛が其時卒然として...
夏目漱石 「それから」
...博士は卒然と王を追うことを断念し...
久生十蘭 「泡沫の記」
...怪しげな幽光に包まれながら卒然と浮かび上って来たのは...
久生十蘭 「魔都」
...之を見ると、私は卒然として、「ああ済(すま)なかった……」と思った...
二葉亭四迷 「平凡」
...――ルイスヒェンのイは卒然と彼の口から消えて...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...卒然と立ってその部屋を出た...
山本周五郎 「日本婦道記」
...その時に筆者は卒然として問うた...
夢野久作 「近世快人伝」
...縛れ、そして、天に代って十手でわしの体を打て」吉宗は、卒然と、叫んだ...
吉川英治 「大岡越前」
...卒然とみな色を失った...
吉川英治 「私本太平記」
...彼は、卒然と、寝醒めのうつつに、坂東平野の牧の馬小舎を思い出した...
吉川英治 「平の将門」
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