...すると僕の目の前へ奇蹟よりも卒然と現れたのは小さい紙本の山水である...
芥川龍之介 「僻見」
...彼は卒然として最初の幸太郎の手紙のことを思い出した...
梅崎春生 「狂い凧」
...我が貿易は卒然として止まるであろう...
大隈重信 「三たび東方の平和を論ず」
...羽抜鳥(はぬけどり)卒然として駈(か)けりけり六月二十七日 丸之内倶楽部俳句会...
高浜虚子 「五百五十句」
...北支事変の発生によって政治的な挙国一致なる儀礼が卒然として社会的に発生し得るということのメカニズムは...
戸坂潤 「挙国一致体制と国民生活」
...卒然として機関説排撃運動へと戦線統一を企てることが出来るようになった...
戸坂潤 「現代日本の思想対立」
...卒然と君の眼の中に...
富永太郎 「警戒」
...そうして余の頭の上にしかく卒然と閃(きら)めいた生死二面の対照の...
夏目漱石 「思い出す事など」
...女は卒然と蝶から眼を余の方(かた)に転じた...
夏目漱石 「草枕」
...その中から苦(にが)い餡(あん)が卒然として味覚を冒(おか)して来た...
夏目漱石 「坑夫」
...そうしてまた卒然として現実に帰るべく彼らから余儀なくされた...
夏目漱石 「道草」
...暗中に卒然として白刃を見る思があった...
夏目漱石 「門」
...平次は卒然として往来に立ち停ります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
......
松本たかし 「松本たかし句集」
...その時に筆者は卒然として問うた...
夢野久作 「近世快人伝」
...だが徐々に、官能の弁が閉じられて、つねのわが身に返るかと意識された途中で、彼女は卒然と、すすり泣きをゆり起した...
吉川英治 「私本太平記」
...するとそれを傍らで聞いていた城太郎は、身の毛をよだてたように、卒然と、愕(おどろ)きを顔にみなぎらして、「沢庵さま...
吉川英治 「宮本武蔵」
...無為に閉じ籠(こ)められる時――卒然として...
吉川英治 「宮本武蔵」
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