...だからもっと卑近な場合にしても...
芥川龍之介 「兄貴のような心持」
...探偵小説の謎も能(あた)うかぎり卑近な常識的な材料を使い...
海野十三 「軍用鼠」
...甚だ浅薄な卑近なものの外にはない...
大隈重信 「政治趣味の涵養」
...そうすると「けり」という文語体の切字は極めて卑近な「でした」という口語体の助辞ということにすぎないのであります...
高浜虚子 「俳句とはどんなものか」
...卑近な例を取ってみると...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...たとえその事自身が卑近な感覚的なものでなくてもなんだか一種の不安を感じる場合が多い...
寺田寅彦 「丸善と三越」
...卑近な物質的の欲望のほかに...
寺田寅彦 「丸善と三越」
...こういう卑近な習俗から段々と高次の習俗になると社会生活が発達しまたは発達しようとするにも拘らず...
戸坂潤 「思想としての文学」
...前者は一種の卑近な功利主義...
戸坂潤 「生産を目標とする科学」
...――芸術といふものが、卑近な意味では、屡々女性的なものだとせられ、甚だしくは論理を無視する処から発生するとさへ考へられるにも拘らず、実は、芸術くらゐ論理的な謂はゞ男性的な性格と環境とを必要とするものはないやうに思はれる...
中原中也 「詩と現代」
...而も文学をやつて来た以上それを描きもしなければならぬといふ極く卑近な理由からしてともかく象を描かうといふ場合...
中原中也 「撫でられた象」
...かく社会が倫理的動物としての吾人に対して人間らしい卑近な徳義を要求してそれで我慢するようになって...
夏目漱石 「文芸と道徳」
...一つ卑近な例をとってこれを説明しよう...
原勝郎 「東山時代における一縉紳の生活」
...今日はしかし如才なく卑近なことを話題にしている...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ルイスヒェン」
...卑近な商工業用とともに武士階級に必要なるものも説かれている...
三上義夫 「和算の社会的・芸術的特性について」
...どうです「あわない」でしょう? もっと卑近な...
三好十郎 「恐怖の季節」
...田舎道を行く埃(ほこり)まみれの駅馬車だとかいうような卑近な事柄から始めたかと思うと...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...極めて卑近な、この両者を比較するだけでも、その差から生ずる、末ひろがりの対立関係は、かなしいほど救い難い...
山本周五郎 「山彦乙女」
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