...同時にまた肉身の父を恥じる彼自身の心の卑しさを恥じた...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...兎の毛ほどの卑しさでも假借するのは俺の恥辱である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...高いもの其ものゝ中に潛む卑しさとを拵へて居るのである...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...いかなる卑しさまたは肉欲もそれを動物化しはじめるものである...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...高さ低さ清さ卑しさまでが明らかにこちらに傳播してくるのである...
高村光太郎 「書の深淵」
...もしこれが酒だつたら! と思ふのも上戸の卑しさからだらう...
種田山頭火 「行乞記」
...自分の卑しさ醜さを見せつけられた...
種田山頭火 「其中日記」
...余り怜悧でない卑しさがあった...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...物質のキラビヤカさが人々の卑しさを刺戟するので...
中原中也 「生と歌」
...今の世の裸体画と云うはただかくさぬと云う卑しさに...
夏目漱石 「草枕」
...把捉(はそく)しがたい様々の世を渡つて、こゝに行きついた人間の、卑しさが、富岡には苦味(にが)いものでもあつたのだ...
林芙美子 「浮雲」
...直吉は、それをよく知つてゐたし、また同じ事のむし返へしだと思はないわけにはゆかなかつたが、それでも、何となく、里子に惹かれて、のこのこと出向いて行く、自分の卑しさが、直吉にはたまらないのだ...
林芙美子 「瀑布」
...種々にひねくれて考えるのはこちらの心の卑しさを見せるようなものではありませんか」「そうではないよ...
宮本百合子 「伊太利亜の古陶」
...いつも物欲しそうに人の財布をのぞきこんでいるような飯尾さんの卑しさが嫌いだったからである...
矢田津世子 「父」
...卑しさが恥ずかしくて...
山本周五郎 「やぶからし」
...おのれの意地ぎたなさや卑しさは...
和辻哲郎 「埋もれた日本」
...その前に出た時自分の弱点と卑しさとを恥じないではいられないゆえに起こるのである...
和辻哲郎 「夏目先生の追憶」
...悪を恥ずるのもまた自らの卑しさを自ら恥ずるのであって...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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