...べそをかきながら又匍匐を続けて行く...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...其前には十七許りの職人が平蜘蛛の如く匍(へたば)つてゐる...
石川啄木 「天鵞絨」
...扉の上の欄間に隠してあった杉箸細工の棒切れをとりだすと、かねての手筈どおり、扉の下に腹匍い、棒切れをもった腕を空気穴から出して棒の先で壁を軽く叩きながら、腕金を探った...
海野十三 「鍵から抜け出した女」
...路面(ろめん)を匍(は)いまわった...
海野十三 「疑問の金塊」
...石垣の横手から匍(は)いこんだ...
海野十三 「恐怖の口笛」
...路上一杯に匍(は)ってゆく...
海野十三 「空襲葬送曲」
...地に匍(は)い局舎を掩護物(えんごぶつ)にして...
海野十三 「空襲葬送曲」
...機械という機械の間を匍(は)いまわり...
海野十三 「赤耀館事件の真相」
...四つ匍(ば)いに動物の真似(まね)でもしたいほどだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...それでも公は唯獨り草に匍ひつつ逃れた...
中島敦 「盈虚」
...グニャグニャと身をくねらせて車室の空気の中を匍(は)いまわっているような気持さえしてくるのであった...
中島敦 「斗南先生」
......
野口雨情 「都会と田園」
...四つん匍ひになつて匍ひ廻り...
葉山嘉樹 「井戸の底に埃の溜つた話」
...彼の皮膚の上に匍(は)いまわるような気がした...
平林初之輔 「謎の女」
...土嚢を翳して匍匐することは辞せない...
森鴎外 「あそび」
...それでも足りなけあ俺から先に汽鑵(かま)の中へ匍(は)い込むんだ...
夢野久作 「難船小僧」
...敷石の上を匍(は)いながら...
夢野久作 「巡査辞職」
...そして大きな画架、青い天鷺絨張りのモデル台、卓(たく)、置暖炉(おきストオブ)、花瓶(はながめ)、肱掛椅子(フオオトイユ)、いろ/\の椅子、紙片、画布(トワル)、其等の物が雑然と人り乱れ、麝香撫子と、絵具と、酒と、テレピン油(ゆ)とが匂ひの楽(がく)を奏(ジユエ)する中(なか)に、壁から、隅々(すみ/″\)から、友の描(か)いた衣(きぬ)を脱がうとする女、川に浴する女仰臥の女、匍ふ女、赤い髪の女、太い腕(かひな)の女、手紙を書く女、編物をする女、そして画架に書きさした赤い肌衣(コルサアジユ)の女、其等の裸体、半裸体の女等と、マントンの海岸、ブルタアニユの「愛の森、」ゲルンゼエ島の牧場、村道、岩の群(むれ)、グレエの森、石橋、其等の風景と、赤い菊、赤い芍薬、アネモネの花、薔薇、林檎と蜜柑、梨、其等の静物とが見とれる如く、あまえる如く、誘(さそ)る如く、熱い吐息(といき)を彼れに投げ掛ける如く、彼れの一挙一動に目を放さぬ如く、我が美くしいナルシスの画家を取巻いて居る...
與謝野寛 「梅原良三郎氏のモンマルトルの画室」
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