...併し俺をして聖フランシスの疾驅して通つた足跡をよろめきながら、匍ひながら、跛をひきながら、蠢き行かしめるものは、曾てアツシジの聖人を驅つたと等しく、深奧に沈潛せむとする憧憬である...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...嬰児は何処をあてどもなく匍匐(ほふく)する...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...手に持ったピストルからスーッと白煙が匍(は)い出してくる...
海野十三 「疑問の金塊」
...蟹(かに)の横匍(よこば)いのように壁際(かべぎわ)を滑(すべ)っていった...
海野十三 「空襲葬送曲」
...まるで生物のように此の室を匍(は)い廻ったんです」「ああ...
海野十三 「崩れる鬼影」
...……お妙だったか……)半之丞は地面に匍(は)いまわりながら...
海野十三 「くろがね天狗」
...その下からカーキ色の飛行服に身を固めた一人の人物が匍(は)い出してきた...
海野十三 「地球盗難」
...――大隅学士は繁みの中からソロソロ匍いだした...
海野十三 「地球盗難」
...血に塗(まみ)れた乱れ髪が数本蛇(へび)のように匍(は)っている...
海野十三 「電気風呂の怪死事件」
...之は資本主義的な現象の内を匍匐するからであって...
戸坂潤 「認識論とは何か」
...必ず匍匐膝行(ほふくしっこう)して過ぎなければならないのである...
中島敦 「南島譚」
...光線が下から匍(は)い上がるんだろう...
葉山嘉樹 「山谿に生くる人々」
...膝で床の上を匍いまわった...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...彼の皮膚の上に匍(は)いまわるような気がした...
平林初之輔 「謎の女」
...今でも背中をゾクゾク匍いまわっている位よくわかった...
夢野久作 「道成寺不見記」
...我が文字の上を蜂(はち)の匍(は)ふに任せん...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
...予等は小松を移植した崖上の坂道を殆ど匍匐して登り...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
...彼は私の肩に匍(は)い上がって来る...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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