...母が剥(はが)してたゝんで置いた張物を風呂敷に包むと...
有島武郎 「お末の死」
...彼が再び包む時にチラと見た所によると...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...この虫は僅に自分ひとりの身を包むに過ぎない襤褸片を肌につけて...
薄田泣菫 「独楽園」
...尚更その肌を押し包むようにするのでした...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...漕ぎぬけようとあせる釣舟の二艘(はい)三ばい瞬く間(ひま)に引包むかと見るが内に...
徳冨蘆花 「漁師の娘」
...そしてそれ全体を包む痩せた透明な頬の皮膚...
豊島与志雄 「楠の話」
...根本中堂で、島津家長久の大護摩を焚き、そして、自分等も、いささか心得ているから、四明ヶ岳で、兵法の修法をしたいから、余人を禁じてもらいたいといって、金を包むと、すぐ快諾して、僧侶が二人、見張役として、案内役として、ついて来てくれることになった...
直木三十五 「南国太平記」
...夜(よ)を包む老樹の姿が恐くないのであろう...
永井荷風 「狐」
...人目を包む風呂敷に蔵(かく)してなおさらに疑(うたがい)を路上に受くるような気がする...
夏目漱石 「虞美人草」
...大いなる山、大いなる空、千里を馳(か)け抜ける野分、八方を包む煙り、鋳鉄(しゅてつ)の咽喉(のんど)から吼(ほ)えて飛ぶ丸(たま)――これらの前にはいかなる偉人も偉人として認められぬ...
夏目漱石 「趣味の遺伝」
...其年の師走には親子が身二つを包むものも無く...
樋口一葉 「琴の音」
...」とおぢさんは紙屑をポンと投げ棄てゝ「これは私が今朝パンを買つた時包むで呉れた新聞紙だよ...
牧野信一 「辞書と新聞紙」
...包むやうな男の胸の匂が...
水野仙子 「夜の浪」
...」ジヨバンニはまだ熱い乳の瓶を兩方のてのひらで包むやうにもつて牧場の柵を出ました...
宮沢賢治 「銀河鐵道の夜」
...この間包む前パラパラとくって見て...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...器物を包むによく...
柳宗悦 「工藝の道」
...汐見櫓(やぐら)を包む大森林と...
夢野久作 「名君忠之」
...ふとんでも包むような大きな風呂敷を体に巻いて...
吉川英治 「宮本武蔵」
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