...外界は謂(い)わばお前の皮膚を包む皮膚のようになっている...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...化粧の香い……そしてそれらのすべてを淫(みだ)らに包む黄色い夜の燈火...
有島武郎 「星座」
...若殿の眞情を思へば兎の毛の先の塵ほども包むべきにあらねばとて...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...「幾ら位包むだものでございませう...
薄田泣菫 「茶話」
...私はその雪白の布(きれ)が私の身体を包むのを見るにつけ大(おおい)に愉快だと思った...
高浜虚子 「漱石氏と私」
...その生活を包むものに花鳥風月がある...
高浜虚子 「俳句への道」
...凄き武裝に身を包む...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...春の懶(ものう)さで人を包む...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...室(へや)を包む影法師が床(とこ)を離れて遠退(とおの)くに従って...
夏目漱石 「思い出す事など」
...それを包む肝腎(かんじん)の人間の心持(こゝろもち)の色合(ニユアンス)や...
南部修太郎 「三作家に就ての感想」
...古川柳に「土手で逢ひどこへ/\と手をひろげ」「土手で逢ひ今は何をか包む可き」その「土手で逢ひ」である...
正岡容 「大正東京錦絵」
...ニコラウス・クザーヌスの「かくて今即ち現在は時間を包む」Ita nunc, sive praesens, complicat tempus といふ有名な言葉にあつても...
三木清 「歴史哲學」
...温室の窓のように若々しく汗をかいた硝子戸の此方にはほのかに満開の薫香をちらすナーシサス耳ざわりな人声は途絶えきおい高まったわが心とたくましい大自然の息ぶきばかりが丸き我肉体の内外を包むのだ...
宮本百合子 「海辺小曲(一九二三年二月――)」
...この間包む前パラパラとくって見て...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...斜に立つてゐる壁を包む...
コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳 「樺太脱獄記」
...両手で湯呑を包むように持って続けた...
山本周五郎 「ちくしょう谷」
...モルヒネをきっかり三時間後に利かせるように包むカプセルや...
夢野久作 「暗黒公使」
...光明なる表面は暗黒なる罪悪を包む...
和辻哲郎 「霊的本能主義」
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