...力のない呻吟(しんぎん)の声が...
芥川龍之介 「偸盗」
...もっともこの声と云うのも、何と云っているのだか、言葉は皆目(かいもく)わからないのですが、とにかく勢いの好い泰さんの声とは正反対に、鼻へかかった、力のない、喘(あえ)ぐような、まだるい声が、ちょうど陰と日向(ひなた)とのように泰さんの饒舌(しゃべ)って行く間を縫って、受話器の底へ流れこむのです...
芥川龍之介 「妖婆」
...ハンドブツクと雖も決して吾人を啓發する力のないものではない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...それほど能力のない器械を時にその能力以上に使いこなす...
海野十三 「浮かぶ飛行島」
...力のないぐつたりした樣子をしてゐた...
田村俊子 「木乃伊の口紅」
...弱々しい力のない声をして...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...ただ紅葉に活力のないことだけを云いたい...
豊島与志雄 「秋の気魄」
...力のない人々のことを思つてやらないのだらう...
新美南吉 「良寛物語 手毬と鉢の子」
...大した力のない人間に...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...金のない男ほど魅力のないものはない...
林芙美子 「晩菊」
...そして武力のない...
河本大作 「私が張作霖を殺した」
...婦人に友情を営む能力のない所以であって...
宮本百合子 「異性の間の友情」
...そのころの虫の声と同じような力のないふうでいるのが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...宮がお書きつぶしになった紙の几帳(きちょう)のそばから見えるのを、手に取って御覧になると、力のない字で、うき世にはあらぬところのゆかしくて背(そむ)く山路に思ひこそ入れとある...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...ぽつぽつ……」「なにか叔母さまで役に立つことがあって」孝之助は力のない笑いをうかべた...
山本周五郎 「竹柏記」
...金吾の腕に力のない顔をうつ向けました...
吉川英治 「江戸三国志」
...生活力のない女や幼子(おさなご)をのこしてゆくだけが心がかりであるなどと...
吉川英治 「親鸞」
...力のない外(そ)れ矢の這う音がした...
吉川英治 「源頼朝」
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