...もっともこの声と云うのも、何と云っているのだか、言葉は皆目(かいもく)わからないのですが、とにかく勢いの好い泰さんの声とは正反対に、鼻へかかった、力のない、喘(あえ)ぐような、まだるい声が、ちょうど陰と日向(ひなた)とのように泰さんの饒舌(しゃべ)って行く間を縫って、受話器の底へ流れこむのです...
芥川龍之介 「妖婆」
...そういう破目(はめ)になると葉子は存外力のない自分であるのを知らねばならなかった...
有島武郎 「或る女」
...僕のような力のない者がひとりで事件の解決に当って見ても...
海野十三 「四次元漂流」
...相手は殿様を除いては土地随一の威権赫々(かっかく)たる御家老では力のない僧侶の身には手も足も出るものではありません...
橘外男 「棚田裁判長の怪死」
...購買力のない印度民衆にとってはそれは塗炭の苦しみで...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
...働いて食べる意力のないみじめさ...
種田山頭火 「其中日記」
...それは現実の生活を指導する何らの力のないものである...
津田左右吉 「日本精神について」
...もはや爆裂するだけの勢力のない火弾が...
寺田寅彦 「備忘録」
...やはり読書力のない者が多かった...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...友さんが来ましたよ」「どうも有難う」力のない身体(からだ)を向き直すつもりで...
中里介山 「大菩薩峠」
...どなたで?」力のない嗄(しわが)れた聲でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...私はかなしむ この白つぽけた室内の光線を私はさびしむ この力のない生命の韻動を...
萩原朔太郎 「青猫」
...彼等のうちに屡々力のない咳の音を聞いた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...彼は王侯貴族が力のない人民に加える残虐をこそ憤っている...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...モンテーニュは欠点を克服する努力のないところに徳を認めないのである...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...病人らしい力のない咳(せき)や...
山本周五郎 「嘘アつかねえ」
...しかもその魂を捉えている手は影法師と同様の力のない手である...
夢野久作 「暗黒公使」
...おおむね武力のない公卿が...
吉川英治 「私本太平記」
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