...東の方はまだいくらかましだが西の方は大変な雲で、前山のあたり、渦を巻いていたりする...
石川欣一 「可愛い山」
...前山の所々、別して尾根に山毛欅が白髪のような、きたない色を見せている...
石川欣一 「可愛い山」
...「長命寺門前山本や」の燒印をおした白木の蓋をあける...
心猿 「桜もち」
...遙か西方に膽振の樽前山の噴火が見えた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...独特のピラミッド形を前山の上に突き出し...
鵜殿正雄 「穂高岳槍ヶ岳縦走記」
...更に木立深き前山が...
大下藤次郎 「白峰の麓」
...南にありて最も高きは前山...
大町桂月 「十和田湖」
...二三年前山蔭で同宿したことのある若い世間師に再会した...
種田山頭火 「行乞記」
...况んや前山の雲のたゝずまひの無心の中(うち)におのづからの秋の姿を具(そな)へて...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...李陵自身毎日前山の頂に立って四方を眺(なが)めるのだが...
中島敦 「李陵」
...車窓をふさがんばかりに壁立する前山の...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...前山の頭は、湯壺にかざす緑樹の梢と重なり合って、ほとんど天を隠そうとする...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...五竜岳といっても、すぐ前山の、見えない肩の蔭にあるのだから...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...三年前山下の伊勢屋で掛人(かゝりうど)の浪人者を斬り殺し...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...かれは虎御前山(とらごぜやま)の高所へのぼって...
吉川英治 「新書太閤記」
...信長はもう北近江(きたおうみ)の小谷(おだに)をかこむ虎御前山(とらごぜやま)の陣地へ...
吉川英治 「新書太閤記」
...家康も、見とおしのよい、前山の一角に、将座をすえた...
吉川英治 「新書太閤記」
...仏ヶ根山も、前山も、それと同時に、迅雷(じんらい)のとどろきを発し、雲を吐くように、弾けむりを、白くひいた...
吉川英治 「新書太閤記」
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