...之實に刻下に於ける最も重要にして且つ趣味ある問題なるべく候◎山西兩系の政治的均勢が破壞されたるは之を奈何なる方面より見るも事實として報導すべき充分の理由あり...
石川啄木 「雲間寸觀」
...刻下の行動に対して刻下の意志があるといわねばならぬ...
津田左右吉 「歴史の矛盾性」
...すなわち公算曲線の山が唯一なりやという事が刻下の問題なり...
寺田寅彦 「自然現象の予報」
...政變は必らず彼れの歸朝後に起る可きを豫想したりき果然彼の歸朝と共に一個の公問題は政變の前驅となり出でたりき曰く大隈を外務に入れ松方を大藏に擧ぐるは戰後に經營を全うする刻下の急要なりと而して彼は此問題の發議者として數へらるゝのみならず...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...飛行機が安全に着陸し得るよう何らかの方法を案出することは刻下の喫緊事である...
中谷宇吉郎 「霧を消す話」
...刻下(こっか)の事情と云うものは...
夏目漱石 「坑夫」
...もっとも刻下感(こっかかん)に乏しい時に汽車を下りたんで...
夏目漱石 「坑夫」
...うれしきも悲しきも眼前の現象 月も花も刻下の風流...
夏目漱石 「鈴木三重吉宛書簡―明治三十九年」
...旨(うま)い局所へ酒が回って、刻下の経済や、目前の生活や、又それに伴う苦痛やら、不平やら、心の底の騒がしさやらを全然痳痺(まひ)してしまった様に見える...
夏目漱石 「それから」
...炳乎(へいこ)として明らかに刻下(こくか)の我を照(てら)しつゝある探照燈のやうなものである...
夏目漱石 「点頭録」
...千兩箱の吊臺が寺の門を潜(くゞ)つたのは申刻下(なゝつさが)り...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...日本橋の井上がよからうから夕刻下見聞(ママ)に行かうと約す...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...刻下の危機をきりぬけねばならぬところまで来ていた...
本庄陸男 「石狩川」
...いそいで刻下に必要な階級文化のための土台ごしらえを堅めようとする著者のたたかいの気迫がみなぎっている...
宮本百合子 「巖の花」
...そのような巨大な転換が刻下に生ずるのではなくて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...一面他の刻下の必要にも通じているわけなのでしょうが...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...やがて春となりし或る日の午の刻下りのこと諏訪山下...
夢野久作 「白くれない」
...――兵の分かちよう、道々の推行(すいこう)(行軍のこと)などは、夕刻下城のせつ、書きものに認(したた)めて、浅野弥兵衛に渡してあるゆえ、浅野弥兵衛について、さしずを聞けと申せ」「はっ」「待て待て...
吉川英治 「新書太閤記」
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