...別段何も特別なことはない...
...別段気にしなくてもいいよ...
...今回の企画は別段面白みがない...
...彼女には別段好意を持っていない...
...僕は別段疲れていないけど、早めに寝ようかな...
...酔つた時でも別段の変りはない...
石川啄木 「刑余の叔父」
...一室(ひとま)別段のお座敷でござりますから...
泉鏡花 「伊勢之巻」
...別段物音も聞えません...
江戸川乱歩 「湖畔亭事件」
...誰から別段たのまれたということもなく...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...(胸算用(むねさんよう)、巻二の二、訛言(うそ)も只(ただ)は聞かぬ宿)遊興戒むかし上方(かみがた)の三粋人、吉郎兵衛(きちろべえ)、六右衛門(ろくえもん)、甚太夫(じんだゆう)とて、としは若(わか)し、家に金あり、親はあまし、男振りもまんざらでなし、しかも、話にならぬ阿呆(あほう)というわけでもなし、三人さそい合って遊び歩き、そのうちに、上方の遊びもどうも手ぬるく思われて来て、生き馬の目を抜くとかいう東国の荒っぽい遊びを風聞してあこがれ、或(あ)るとし秋風に吹かれて江戸へ旅立ち、途中、大笑いの急がぬ旅をつづけて、それにしても世の中に美人は無い、色が白ければ鼻が低く、眉(まゆ)があざやかだと思えば顎(あご)が短い、いっそこうなれば女に好かれるよりは、きらわれたい、何とかして思い切りむごく振られてみたいものさ、などと天を恐れぬ雑言(ぞうごん)を吐き散らして江戸へ着き、あちらこちらと遊び廻(まわ)ってみても、別段、馬の目を抜く殺伐なけしきは見当らず、やはりこの江戸の土地も金次第、どこへ行っても下にも置かずもてなされ、甚(はなは)だ拍子抜けがして、江戸にもこわいもの無し、どこかに凄(すご)い魔性のものはいないか、と懐手(ふところで)して三人、つまらなそうな様子で、上野黒門(くろもん)より池(いけ)の端(はた)のほうへぶらりぶらり歩いて、しんちゅう屋の市右衛門(いちえもん)とて当時有名な金魚屋の店先にふと足をとどめ、中庭を覗(のぞ)けば綺麗(きれい)な生簀(いけす)が整然と七、八十もならび、一つ一つの生簀には清水が流れて水底には緑の藻(も)がそよぎ、金魚、銀魚、藻をくぐり抜けて鱗(うろこ)を光らせ、中には尾鰭(おひれ)の長さ五寸以上のものもあり、生意気な三粋人も、その見事さには無邪気に眼(め)を丸くして驚き、日本一の美人をここで見つけたと騒ぎ、なおも見ていると、その金魚を五両、十両の馬鹿(ばか)高い値段で、少しも値切らず平気で買って行く人が次々とあるので、やっぱり江戸は違う、上方には無い事だ、あの十両の金魚は大名の若様のおもちゃであろうか、三日養って猫(ねこ)に食われてそれでも格別くやしそうな顔もせずまたこの店へ来て買うのであろうな、いかさま武蔵野(むさしの)は広い、はじめて江戸を見直したわい、などと口々に勝手な事を言って単純に興奮し、これを見ただけでも江戸へ来たかいがあった、上方へのよい土産話が出来た、と互いによろこび首肯(うなず)き合っているところへ、賤(いや)しい身なりの小男が、小桶(こおけ)に玉網(たも)を持ち添えてちょこちょこと店へやって来て、金魚屋の番頭にやたらにお辞儀をしてお追従(ついしょう)笑いなどしている...
太宰治 「新釈諸国噺」
...着てしまったものを今更脱いだっておんなじ事さ」庭では別段気がつくほどではなかったのだが...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...「別段引き千断られてはいないぞ...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...コルネイユ師はそれを別段不快ともしなかった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...別段の異常を認めません...
中里介山 「大菩薩峠」
...自分が「別段堅苦しくはしていません」と答えた時...
夏目漱石 「行人」
...窓の外(そと)へは別段の言葉も聞(きこ)えなかつた...
夏目漱石 「それから」
...別段口も利(き)かなかった...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...別段気にも掛からないが...
夏目漱石 「門」
...されどもこれらは非常別段のこととして...
福沢諭吉 「小学教育の事」
...約束の通りに毎日別段に教えて居た所が...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...別段お酌をしようともしない...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...そればかりか私の家なぞは祭りと言っても別段何をするのでもないのに引き替えて商家では稼業(かぎょう)を休んでまでも店先に金屏風(きんびょうぶ)を立て廻し...
水上滝太郎 「山の手の子」
...どの家も別段仕事場らしい室があるのではなく...
柳宗悦 「全羅紀行」
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