...のみならず社会的条件などはその社会的条件の中にゐる僕自身に判然とわかるかどうかも疑はない訣(わけ)には行かないであらう...
芥川龍之介 「或旧友へ送る手記」
...眞間の江や先づ引く汐に背き得ず靡く玉藻はすべなし吾君(わぎみ)いたづらに言(こと)うるはしみ何せんと君が思はむ思ひ若しも手古奈は詞には判然と言うて居れど...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...判然としないまま男はだるそうに眼を閉じた...
梅崎春生 「日の果て」
...判然としない点がある...
岡田武松 「北越雪譜」
......
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...しかしまだ雌雄の区別が素人目(しろうとめ)にはどうも判然としない...
寺田寅彦 「あひると猿」
...判然とした業績は判らないのであるが...
戸坂潤 「現代唯物論講話」
...文芸と文献(フィロロギー)との区別は概念上あまり判然としない伝統が存在している...
戸坂潤 「認識論としての文芸学」
...阿爺があの通り気の長い人だもんだから」「こっちでも判然とは断わらなかったんでしょう」「そりゃ今までの義理があるから...
夏目漱石 「虞美人草」
...もう少し判然としてくれ...
夏目漱石 「それから」
...虎列剌(コレラ)病博士とか腸窒扶斯(ちょうチフス)博士とか赤痢(せきり)博士とかもっと判然と領分を明らかにした方が善くはないかと思う...
夏目漱石 「道楽と職業」
...自分は安いか高いか判然と判(わか)らないが...
夏目漱石 「文鳥」
...ただ自分も判然とそれを自覚しなければ...
新渡戸稲造 「自警録」
...そしてアカザの語原は判然とはよく分らないが...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...それが本質を失い本質を歪めている事が明瞭に徹底的に判然とした瞬間に...
三好十郎 「俳優への手紙」
...ざまあみやがれ」それからの経過は判然としない...
山本周五郎 「七日七夜」
...あるときが來れば僕の氣持ちが判然とするだらうと思はれたから...
横光利一 「書翰」
...漸次判然と云ひ來つて...
若山牧水 「姉妹」
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