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海野十三 「間諜座事件」
...十次郎も初菊もまともに見ることが出来ないような奇観を呈した...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...一つァまた、チョボがいいからしっくりと呼吸(いき)が合って、何とも言われねえのさ」そう言われてみさお役者は恐縮してしまい、「わしらの芸は、はあ、何でもねえが、太夫さんが引取って下さるから、どうやら持ちこたえられているのでございます」「それからまた、いちいち役々に就いて言ってみる……」と、立てつづけて道庵先生が、初菊や、重次郎や、母のさつき、正清といったような役者を上げたり下げたり、それからまた全体に戻って来て、故人虎蔵の型はこうだの、先代宗十郎はどうだの、誰それはそこで足をこう上げたの、ここで鼻の先をこんなにこすったの、こすらないの、というようなことをのべつにまくし立てたものですから、半ば過ぎまで好意と感激とをもって歓迎していた楽屋一党も、なんだか少し変だと思うようになってきました...
中里介山 「大菩薩峠」
...十段目に、初菊が、あんまり聞えぬ光よし様とか何とかいうところで品(しな)をしていると、私の隣の枡(ます)にいた御婆さんが誠実に泣いてたには感心しました...
夏目漱石 「虚子君へ」
...けれどもその面白味はあの初菊という女の胴や手が蛇(へび)のように三味線につれて...
夏目漱石 「虚子君へ」
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