...生れて初めて宿屋に泊つた経験といふことである...
安倍能成 「初旅の残像」
...事物の情理を尽して後に初めて許される『魂のおちつき』である...
種田山頭火 「赤い壺」
...くれるくらいなら古着屋へ売っちまう」左(と)に右(かく)二人は初めて揃(そろ)って...
徳田秋声 「あらくれ」
...初めて意識の名を与えられることが出来る...
戸坂潤 「イデオロギー概論」
...映画の芸術性も認識の様式として初めて...
戸坂潤 「映画芸術と映画」
...否物理的に離れていることによって初めて...
戸坂潤 「科学論」
...ヒューマニズムによって初めて唯物論も成立し得るのだとか...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...手に握ってた棒切を初めて投げ捨てた...
豊島与志雄 「神棚」
...電話のあるのが、夏目漱石一人切りで(これも、新聞社にいたからのお蔭であろう)、里見が、初めて、一枚四十銭の原稿料を貰って、躍り上っている頃である...
直木三十五 「大阪を歩く」
...余は初めて現代の我が社会は現代人のものにして余らの決して嘴(くちばし)を容(い)るべきものにあらざる事を知りぬ...
永井荷風 「浮世絵の鑑賞」
...それを紙幣に換えた時に初めて価値を認めることも決して不純な考えとはいわれないであろう...
中谷宇吉郎 「米粒の中の仏様」
...それを初めて説破してその誤謬を指摘し...
牧野富太郎 「植物一日一題」
...ブリトンの王グラッドロンがマルグヴェンと一緒にいるのを人が初めて見たのは遠い北方のアルバンの地であった...
フィオナ・マクラウド Fiona Macleod 松村みね子訳 「髪あかきダフウト」
...今初めて白髮に驚かれる母...
水野仙子 「四十餘日」
...孔子の道も孝悌(こうてい)仁義(じんぎ)より初めて諸礼法は仏家の小乗なり...
森鴎外 「渋江抽斎」
...彼は初めて大名の列へ加えられたのである...
吉川英治 「黒田如水」
...魏(ぎ)から――晋(しん)まで一孔明の歿後、魏は初めて、枕を高うして眠ることを得た...
吉川英治 「三国志」
...これは本当に倒れるかも知れないぞと初めて思った...
和辻哲郎 「地異印象記」
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