...洗いすました青空がまばゆく切れ目切れ目に輝き出していた...
有島武郎 「或る女」
...しかもその曇った雲の切れ目から薄日が洩(も)れて...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...中が惡くなりましたけれ共三十五年に堤防の切れたのが大災害であつて又一の幸福になりましたのは三十五年に堤防の切れ目が如何にも場所が宜い所が切れまして三十五年にドツサリ泥が這入つた...
田中正造 「土地兼併の罪惡」
...彼の眼にはいつも肩章や、きらきらする指揮刀が眩(まば)ゆく輝いて見え、むんむんする隊列の汗と靴革の匂ひ、町中を行進するときや、町外れの木蔭で見物人にとりまかれて兵卒に演習の想定を説明するときや、それらの晴れがましい空気の思ひ出が、今は日焼けがとれて生白くなつてはゐるが、眉の強い、眼の切れ目な、短い鼻髭の生えてゐる彼の稍冷い顔を生き生きとさせるのだつた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...手もちぶさたのあまりにはその切れ目へ指先をつっ込みながら...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...大きい方の防寨の切れ目を喜んで出て行った...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...斧で打ち込んでおいた帆柱の切れ目が...
中里介山 「大菩薩峠」
...これと同じことに切れ目が入っているんです...
中里介山 「大菩薩峠」
...日本の詩句の切れ目ははっきりコンマやピリオッドが打てないような不即不離のものが多く...
信時潔 「歌詞とその曲」
...漸く言葉の切れ目を見付けて...
野村胡堂 「悪人の娘」
...人の切れ目のなかに肩を入れて...
林芙美子 「瀑布」
...我々はフェンシングの上級者が胴鎧の総ての切れ目を巧みに捉えるのを見て感嘆させられるところのあの突きと引きの柔軟さを彼の中に見ることが出来るのだった...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...切れ目の長い一重(ひとえ)まぶた...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...その切れ目の長い眼の底には...
夢野久作 「暗黒公使」
...その歔欷(すす)り上げる呼吸の切れ目切れ目に...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...人の頭のように……又は眼の形……鼻の恰好……唇の姿なぞ取り取り様々の形に尾を引いて流るる白い雲……黒い雲……黄色い雲……その切れ目切れ目に薬液のように苦々しく澄み渡っている青い青い空……そんなものの下に冴えに冴え返る神経と...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...切れ目の長い一重瞼(ひとえまぶた)を伏せて...
夢野久作 「復讐」
...けれども結局、わずらわしさに、こちらは根負けしてしまいましたし、なお続ければ、以後の高山右近も相当長くかかるので、切れ目を作って、右近のごく若い時代でひとまず終りを作ったわけです...
吉川英治 「小説のタネ」
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