...そこは賑(にぎや)かな夜店街の切れ目だった...
海野十三 「火葬国風景」
...これまで連続していた記憶の切れ目であったのである...
海野十三 「空中漂流一週間」
...向うに見える白い雲の切れ目のところだよ...
海野十三 「地球盗難」
...――ふっと思い出したが、ヴェルレエヌ、ね、あの人、一日、教会へ韋駄天走(いだてんばし)りに走っていって、さあ私は、ざんげする、告白する、何もかも白状する、ざんげ聴聞僧(ちょうもんそう)は、どこに居られる、さあ、さあ私は言ってしまう、とたいへんな意気込で、ざんげをはじめたそうですが、聴聞僧は、清浄の眉をそよとも動(そよ)がすことなく、窓のそとの噴水を見ていて、ヴェルレエヌの泣きわめきつつ語りつづけるめんめんの犯罪史の、一瞬の切れ目に、すぽんと投入した言葉は、『あなたはけものと交った経験をお持ちですか?』ヴェル氏、仰天して、ころげるようにして廊下へ飛び出し、命からがら逃げかえったそうで、僕は、どうも、人のざんげを聞くことが得手(えて)じゃないのです...
太宰治 「虚構の春」
...金の切れ目が縁の切れ目なることはあにただに売女にのみ限ったものではない...
辻潤 「ふもれすく」
...下駄の鼻緒の切れ目へそれを差し込みました...
中里介山 「大菩薩峠」
...一点の雲の切れ目を捕(とら)えて...
中谷宇吉郎 「実験室の記憶」
...遂に雲が切れ目を見せ...
堀辰雄 「菜穂子」
...暗闇の切れ目が見えた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「幽霊島」
...その切れ目から、薄日ではあるが、僅かにキラリと顔覗かせてくる朝日の光りがあった...
正岡容 「小説 圓朝」
...訪客の切れ目に初めて口を開いた...
夢野久作 「近世快人伝」
...ゴットンゴットンという器械の音の切れ目切れ目に...
夢野久作 「支那米の袋」
...その切れ目の長い眼と...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...――切れ目がいかぬ、切れ目が...
横光利一 「上海」
...ひとり柴の切れ目からぶくぶく出る泡を面白そうに眺めていた...
横光利一 「笑われた子」
...けれども結局、わずらわしさに、こちらは根負けしてしまいましたし、なお続ければ、以後の高山右近も相当長くかかるので、切れ目を作って、右近のごく若い時代でひとまず終りを作ったわけです...
吉川英治 「小説のタネ」
...色彩と象徴の切れ目のない雲を離れて単に信じ難い出来事を羅列しても...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「怪奇小説の執筆についての覚書」
...しからば同様に切れ目のあと...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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